災害関連死の要因にも…断水長引く大規模災害下の『命の水』名古屋で20年かけ整備中の“しなる水道管”とは
能登半島地震の被災地では、未だに断水が続いている地域もある。水を摂取できなければ脱水症状をはじめ、脳梗塞などの重大疾患に繋がって命を落とすこともある。断水を防ぐために重要なのは地下にある水道管が折れないことだが、名古屋市は20年かけて“しなる水道管”の整備を進めている。 【動画で見る】輪島・朝市通りの人「復旧したとしても…」能登半島地震から1週間 甚大な被害の現場と避難所に届く支援
■1人3リットル必要でも“2リットル”まで…支援続くも水は足らず 復旧の目処が立たない地域も
能登半島地震で被災した石川県では「断水」が続いている地域があり、被災者は「水不足」に悩まされている。
石川県輪島市の避難所には、地震発生から3日後に、ようやく給水車が到着し、多くの被災者が「命の水」を求めて列を作った。
被災した男性: 「本当に嬉しいわ。(地震後)初めてやから。喉乾いた。あ~美味しい。いつになったら水道が出るのかな」 被災した女性: 「水がないし、トイレの水も都合が悪いしひどいなと思う。つらいです。でもみんな同じ状況だからしょうがないし、助け合っていかないと」
しかし、1月4日の時点では、給水車でもらえる水は1人2Lまで。1人あたり、飲料水だけで3Lが必要といわれる避難生活では、十分な量ではない。
こうした状況に、東海3県などの自治体からは次々に給水車が出動した。一刻も早い「水不足」の解消が必要だ。
■東日本大震災では約3800人が死亡…「災害関連死」は水もきっかけに
総合防災・減災を専門とする関西大学の奥村与志弘(よしひろ)教授(43)は、水不足が長引くことによる、被害の拡大を懸念する。 関西大学の奥村与志弘教授: 「水がきっかけで発生する災害関連死は、決して少なくないです。今回の災害でもうまく対処しなければ、何十人という関連死が発生する可能性があるんじゃないかと試算しております」
「災害関連死」とは、地震の後、避難生活などを送る中で身体的負担によって死亡する事例のことだ。東日本大震災では、災害関連死で3794人が亡くなっていて、“犠牲の拡大”として課題となっている。 奥村教授は複雑に絡み合う「災害関連死」の要因を分析し、フローチャートにまとめた。
そこには「水不足」に端を発する事例も多く記載されている。 奥村教授: 「関連死で亡くなられる要因として一番注意が必要なのは、脳梗塞とか心疾患とか『循環器系』の疾患。この3つの矢印でいきますと、劣悪なトイレの環境。なかなかトイレに行かなくなりますので、水分の摂取を控えるということで脱水症状が発生しやすくなる。トイレに行きにくくなると便秘気味になったりとかも、循環機器疾患の一つの要因になっていきます」