衆院選公示の日を迎え、街頭演説に集まった有権者ら＝15日、東京都内（桐原正道撮影）※画像の一部を処理しています※

第50回衆院選が15日公示され、27日の投開票に向けて12日間の選挙戦に入った。自民党派閥裏金事件を受けた「政治とカネ」への対応が最大の争点となる。石破茂首相は、勝敗ラインを自公両党で過半数（233議席）と位置付ける。両党の公示前勢力は計288で、政治評論家の有馬晴海氏は「自公で過半数ギリギリの攻防」と分析。キーマンは「石破首相自身」と〝指名〟した。 【写真9枚】ニホンザルの「フクちゃん」のもてなしを受ける石破茂氏＝2015年2月撮影（6枚目） 今回の衆院選には重複を除き全国289小選挙区と11ブロックの比例代表合わせて1344人が立候補した。計465議席を争う。 石破首相は福島県いわき市の小名浜港で選挙戦を開始。裏金事件に触れ「深い反省の下にこの選挙に臨む。日本創生のための選挙と位置付け、もう一度新しい日本をつくっていく」と強調した。立憲民主党の野田佳彦代表は東京都内で第一声を行い、「裏金議員を裏から助け、裏の組織から支援を受けている。裏、裏、裏の自民政治に決別しよう」と呼びかけた。 裏金事件で厳しい逆風にさらされている自民党。〝勝敗ライン〟について与党側は「自公両党で過半数」に設定した。公示前勢力は自民256（非公認の前議員含む）・公明32だけに、この勝敗ラインは自民が大幅に議席を減らすことを想定しているかのような低いハードルだ。 有馬氏は現時点の情勢として「勝敗ラインギリギリ」と分析する。岸田政権下の前回選（21年10月）で、自民は小選挙区189議席、比例72議席を獲得した。今回は小選挙区で「150台」、比例で「60前後」まで減らす可能性があり、自民は全体で「前回から40～50議席落とす」ことがあり得るとした。 石破首相は公示直前に急きょ裏金議員ら一部の非公認・比例重複立候補禁止の措置を断行。これにより自民は比例票を大幅に減らす恐れがある一方、裏金議員への厳格な対応を世論にアピールして信頼回復を図るしかない状況だ。有馬氏は「全て選挙期間中の石破首相自身の言動にかかっている。政治改革の姿勢を押し出し党内にも厳しく対処する本来の『石破カラー』を出せれば、出血を抑えることも可能だ」と強調した。 立民は「政権交代」を掲げ、自公の過半数割れと比較第1党を目標とする。ただ野党間の候補者調整は前回選に比べても進まず、野党で票を食い合う可能性がある。立民は公示前勢力98から「140～150には増やせる」（有馬氏）とみられるが、「あくまでも自民の失策による増加に過ぎず、強い追い風が吹いているとは言えない。選挙期間中に政権交代の風をどこまで吹かせることができるか」と課題を指摘した。