山本千尋がラジオドラマ初出演!「飼い犬と重なり、泣きました」
── 脚本家の久継さん、執筆に当たっての思いをお聞かせください。 久継 「北海道の物語を描くにあたり、自分の琴線に触れるような題材を選びたいと思いました。そこで、報道されているシカ被害も、天敵であるオオカミがいればここまで深刻化しなかったかもしれないという話を知り、絶滅したエゾオオカミとその歴史を探ったことが構想の原点です。『オオカミ再導入』を土台にして、その上に人間ドラマ、人間と自然の関係性を紡げないかという思いで書きました」 ── 収録を現場で聞かれた感想はいかがでしょう。 久継 「本読みの段階から皆さんの演技が素晴らしすぎて、何度も涙がこみあげました。書いた自分が言うのもおかしな話かもしれませんが(笑)。自分が書いた文章、セリフに、皆さんが命を吹き込んでくださって、イメージしたものを超える瞬間がたくさんありました。本番ではさらに、ぐっと感極まりました」 ── お二人からリスナーへメッセージをお願いします。 山本 「共感性が強い物語でもありながら、SFファンタジーな部分もあり。恥ずかしながら、私は『オオカミ再導入』という言葉を今回初めて知りましたが、もしかしたら10数年後、この取り組みが現実に行われているかもしれない。そんな未来を予想しながら、『耳』で想像できることが、すごく楽しいと思います。『耳』で聴くからこそ、より集中して物語に入り込める、素晴らしい脚本です。よりたくさんの方に聴いていただきたいと思います」 久継 「フィクションではありますが、現実でもあり得そうな内容を土台にした物語です。身近に迫ってきている問題を扱ってはいますが、面白さ、息抜きできるシーンも散りばめているので、肩の力を抜いて、楽しんで聴いていただけたら、心からうれしく思います」
演出・NHK札幌放送局ディレクター 南﨑美玖コメント
「北海道の森に、もしエゾオオカミが復活したら…? 読み進めるごとに新しい真実が分かるストーリーに、ページをめくる手が止まらず“このシナリオをぜひドラマ化したい!”と思いました。『オオカミ再導入』はSF的なテーマに聞こえるかもしれませんが、調べれば調べるほど、世界的にも、ここ北海道でも、切実で身近な問題として研究も進んでいる話でした。野生動物と人間はどう共生していけるのか、という大きなテーマもありつつ、あくまで物語として楽しみながら聞いてもらうには…ということで、脚本家やキャスト、スタッフの皆さんと試行錯誤しました。自身の愛犬とこの物語のオオカミ・マサを重ね合わせてくれたという山本さんの声が、主人公・那月の動物への真っすぐな思いを、凛(りん)とした声で表現してくれています。実は、演出を考える中で一番悩んだところが、オオカミの表現をどうするかだったのですが、声優の宮崎さんが見事にマサに命を吹き込んでくれました。ぜひ、そこにも注目していただきたいです。ビジュアルのないオーディオドラマだからこそ、よりリアルな息遣いや体温まで感じられるような、臨場感のあるドラマ体験を目指しました。ぜひお楽しみください!」
【プロフィール】
山本 千尋(やまもと ちひろ) 1996年8月29日、兵庫県神戸市生まれ。2015年に第3回ジャパンアクションアワード ベストアクション女優賞を受賞。主な出演作品は、映画「キングダム2 遥かなる大地へ」、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、Netflixシリーズ「今際の国のアリス シーズン2」など。今年は日本テレビ系連続ドラマ「新空港占拠」、映画「赤羽骨子のボディガード」などに出演。