山本千尋がラジオドラマ初出演!「飼い犬と重なり、泣きました」
NHK-FMでは、9月28日にFMシアター「マサマサ」(土曜午後10:00)を放送。ラジオドラマ初出演にして初主演となる山本千尋が、担当したオオカミの子どもが国家的プロジェクトに駆り出されることで葛藤する動物園の飼育員を演じる。脚本は「北のシナリオ大賞」2024年度大賞作品。
「北のシナリオ大賞」は、日本脚本家連盟・北海道支部が主催する年に1度のオーディオドラマ脚本賞。NHK札幌放送局と共催し、大賞作品を同局でオーディオドラマ化していることから、新進作家を生み出す登竜門とされる。20回目の今回は123本の応募があり、東京在住の久継遥々(くぬき はるばる)氏の「マサマサ」が大賞に。出演はほか、小林エレキ、内崎帆乃香、武田晋、齊藤雅彰、西田薫、戸澤亮、宮崎寛務。 山本が演じるのは、北海道東部にある動物園の主任飼育員・谷那月(32歳)。ドラマは、那月がなかなか心を開こうとしない子どものオオカミ・マサを世話して1年が過ぎたころ、突然マサが「オオカミ再導入」という国家プロジェクトに駆り出されることになる…というあらすじ。「オオカミ再導入」とは、もう一度オオカミの群れを作り上げ、生態系のバランスを取り戻そうというもので、シカによる農作物被害が年間50億円にも上るという北海道の問題が背景にあった。 マサ1匹が計画に利用されると知り、困惑する那月。なぜなら、マサに白羽の矢が立ったのは、世界でただ1匹のエゾオオカミだから。さらに、マサには、もっと大きな秘密があった…。「オオカミ再導入」は1990年代にアメリカの一部地域で実際に行われた取り組みで、日本では未実施のため、フィクションとして物語に取り入れている。
山本千尋&脚本家・久継遥々が語る作品への思い
このほど、NHK札幌放送局で収録に臨んだ山本と、脚本家の久継氏にインタビューを敢行。作品への思いや魅力について聞いた。なお、NHKラジオ「らじる★らじる」では、放送日から1週間、聞き逃し配信を行う。 ── 脚本を読んだ感想はいかがでしたか。 山本 「脚本の第一印象は、SFやヒューマンドラマなど、さまざまな観点で受け取ることのできるお話で、そこが面白いとまず感じました。個人的には、2年前からイヌを飼っていて、飼育員役に共感できる部分がたくさんありました。家で読んだのですが、飼い犬と劇中のオオカミ・マサが重なる部分があり、めちゃくちゃ泣いてしまいました。動物を飼っている方、動物好きな方にも、すごく刺さる物語だと思います」 ── 2023年に俳優活動10年目を迎えられましたが、ラジオドラマは初だそうですね。 山本 「実は、自分の中で『声』はコンプレックスだったんです。でもここ数年、『声』を褒めていただける機会がありました。先輩からも『声のコンプレックスは、いつか強みになる』と言われていて、ようやく、少しそう思える瞬間をいただけたことに感謝しています。余談ですが、脚本家の三谷幸喜さんに『千尋さんはラジオもやってみたらいいのに』と一度言っていただいたことがありまして、オーディオドラマに出演できましたと報告できることも、うれしいです」 ── オーディオドラマは、映像や舞台とは違いますか。 山本 「難しいです。自分の『声』はどこか変に聞こえますし、『これでいいのかな?』と考えながら演じています。ただ、ほかの演者さんと対面することでパワーを受け取るのは、普通のお芝居と同じです。想像を超えたものが来ると、自分なりに方向性を提案できたりします」 ── 演じる動物飼育員・那月は、どんなキャラクターですか。 山本 「自分より確実に少し年齢が高い役どころを演じるのは、たぶん初めてに近いんです。大河ドラマだと、年齢はアバウトなので…。30代女性の格好良さ、働く強さみたいなものは、飼育員という職種に限らず、共通していて、尊敬しています。自分も10年という節目を迎え、10代の時の『好きだから頑張りたい』みたいな無邪気さだけではなく、葛藤というか、転機というか…良くも悪くも『大人』になってしまった環境みたいなものは、どこか重なる部分があるかもしれません。ただ、やはり格好いい女性であると感じます」 ── 舞台となる北海道との関わりは。 山本 「22年12月、『鎌倉殿の13人』のグランドフィナーレイベントで、金子大地さんと一緒にNHK札幌放送局でのパブリック・ビューイングに登壇して以来、2回目です。前回と同じ動線でNHK札幌放送局に来まして、逆にレアだなと思います(笑)。声だけの収録なら東京でもできそうですが、北海道をテーマにした作品を、札幌で、北海道の風を感じながら収録できることがありがたいです」