女子アナはなぜ「日本で最も嫌われる職業」になったのか? インフルエンサー化する彼女たちに共通することとは
独立心旺盛だけどかわいげがない? 大御所の色ではなく自分の色は自分で決めるという世代
今回話題になった女子アナたちは、いわゆるゆとり・さとり世代。合理的で能力が高く、自己実現を重んじ組織への帰属意識が希薄な世代とされる。確かに、みな組織人というよりは自分のカラーを出すことに重きを置いている人たちだ。体のラインが出る服装を好む中川アナや、かたくなに自分の病名は明かさない渡邊アナなど、世間がどう受け取るかよりも自分の信念を貫くことを大事にしたいという思いがうかがえる。 それからもう一つ、ここ数年でフリーになるゆとり世代の女子アナは、特定の芸能人の色がついていないのも特徴である。 一世代前は、バラエティーで組んでいた芸人MCの「お気に入り」としてスターダムにのし上がった女子アナがフリーになったもの。けれども久慈さんにしろ森さんにしろ渡邊さんにしろ、かわいさは有名だったが特定の芸人の色はない。久慈さんなら明石家さんまさん、森さんなら千鳥、渡邊さんなら「ぽかぽか」のハライチとの共演が思い浮かぶが、彼らの「お気に入り」と言い切るのはちょっと違う気がする。 でもそれは、彼女たちのあえての戦略なのかもしれない。フリー転身したときに、余計な色眼鏡は無しに見てほしいという、自信と旺盛な独立心の表れではないか。本当の私は芸人とのやり取りなんかではなく、SNSで分かるようにしてありますので、という主張。自分の道は自分で切り開くという姿勢はカッコいい。でも裏返せば、組織になじもうとしないかわいげのなさという欠点にも映りやすい。 9月末にテレ東を退社する池谷アナも、自社の番組をあまりにも観ていないと出川哲朗さんからツッコまれていたことがある。また先輩の松丸友紀アナからも、あいさつを無視するとチクリとやられていた。とはいえ、そうした不遜(ふそん)な振る舞いは、「伊集院光&佐久間宣行の勝手にテレ東批評」で面白がられ、同期入社の中で最も後れを取っていたかに見えた池谷アナの認知度を急上昇させた。佐久間プロデューサーといえばテレビ朝日の弘中綾香アナや森香澄さんなど、「勘違いしている」と言われがちな女子アナの通訳が上手なことで有名。特定の芸人の色はつけたくない女子アナも、無色の佐久間さんには寄っていくというのもまた、自分の色は自分で決めたいという世代の特徴が出ているように思う。 テレビにも大御所タレントにも視聴者にも思い入れがなく、自分の道を切り開くことに熱心に見える女子アナたち。将来はAI、自動音声に取って代わられるというリスクもあるからこそ、自分のカラーをテレビ以外の場でも出していく、という傾向は加速していくことだろう。もしかすると女子アナという言葉は数年後には消え、局専属インフルエンサーという職業名に変わっていくのかもしれない。 冨士海ネコ(ライター) デイリー新潮編集部
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