「マンションのローンはどうなってしまうのか…」住宅ローンの金利上昇を騒ぐ人に欠けている視点
大きな幅を持つ優遇金利には特段の根拠が見られないことから、基準金利は「店頭金利」とも言うように見せかけで、優遇金利は銀行都合でどうとでも設定できるようになっている。 その証拠に、変動金利で借りた金利は新規貸し出しの金利が下がっても下がらず、「固定金利」になっている。その意味でも、今回の報道はすでに変動金利で住宅ローンを借りている人たちだけの問題だとわかる。 そうなると、ニュースの影響範囲が決まってくる。今回の「17年ぶり」の利上げは、借りているほとんどの人が対象になる。その間、つねにあったローン控除の割合が0.7~1%の範囲内にある人が多く、借りている金利から0.15%上がるとはいえ、金利がローン控除割合を超えない人が多いと考えられる。超えたとしても、これまでのローン控除の累計額と相殺すればプラスの人が大多数だろう。
■利上げによる住宅ローン返済額の変化 次に、返済額の変化に着目してみよう。金利が0.15%上がると、返済額は最大2.7%増える。しかし、2013年以降のマンションのインフレ率は年率6~13%だったので、すでに含み益は数十%ある人が多い。返済額の上昇幅より価格の上昇幅がつねに圧倒的に大きかったので、トータルの収支にはだいぶ余裕がある。 変動金利についてもう少し詳しく見てみよう。多くの銀行では変動金利が上がる際には、以下の3つのルールがある。
1:金利の見直しは「半年」に1度の単位で行われる 2:毎月の返済額は「5年間」は変わらない 3:毎月の返済額の増額は以前の「125%」を上限とする 1があるので、数カ月後に金利が見直されるが、5年間は返済額が変わらずに金利だけが増え、その分元本の減少が緩やかになる。「125%ルール」になるには金利が1.4%上がる必要があるが、今回の利上げ幅はその約10分の1にすぎない。 ■住宅ローンを借りるという「ゲーム」に勝つには