戦力外危機から一転…素質開花で広島の左打者に「20本塁打打てる」高評価が
背番号『38』を継承
宇草は尊敬する赤松真人一軍外野守備・走塁コーチが現役時代に着けていた背番号『38』を継承している。赤松コーチの野球人生は波瀾万丈だ。ドラフト6位で阪神に入団したが一軍定着できず、FAの人的補償で08年に広島へ。この移籍劇が野球人生の大きな転機になる。移籍1年目にプロ初アーチから3打席連続弾を放つなど、125試合出場で打率.257、7本塁打、12盗塁をマーク。レギュラーをつかみ、同年から7年連続2ケタ盗塁と機動力野球に不可欠な存在だった。16年オフに胃ガンが発覚し、リハビリを経てグラウンドに戻ってきた姿が大きな反響を呼んだ。赤松コーチは週刊ベースボールのインタビューでこう語っていた。 「僕のことを皆が『すごいな』と言いますけど、そんなん、手術した人は全員やってますから。今、2人に1人がガンになる時代ですから、2人に1人はすごいことやってるわけです。そう思ったら、そんなにすごくないでしょ。病気になったら、当たり前のことなんです。その当たり前のことに、弱音を吐いているようじゃダメなんです。『私は病気だから』と、そっちに逃げていってしまう人もいますけど、そうじゃないんです。当たり前のこと。僕なんて、手術もできて、抗ガン剤治療もできて、野球にも復帰できた。もう、『(その程度で)よかったね』ぐらいです。弱音を吐いたら、もっと大変な人に失礼だと思います」 「僕は、プロ野球選手という立場で、その病気になった。だったら、病気を克服して、野球をやることによって、そういった方々に勇気を与える、そういう使命があると思うんです。だから、立ち向かっていかなきゃいけないし、逃げては絶対にいけない。そういう職業だと思うんです。そこで僕が頑張ることで、少しでも何かを思ってくれる人がいるのであれば、やる価値はあると思ってやってきました」 背番号『38』を身にまとう宇草は野球ができる喜び、一軍でプレーする喜びをあらためて感じているだろう。まだシーズンは始まったばかり。5月以降もチームを勝利へ導く一打を積み重ねたい。 写真=BBM
週刊ベースボール