"半導体強国"台湾の政府高官 今後の日本の半導体「世界をリードすることは難しい」
■“半導体強国”台湾、全ての分野での世界トップシェアを目指し、台湾が掲げる計画とは?
――外資系企業出身として、経験をいかして進めている成長戦略は? 頼政権では現在、半導体、AI、軍事産業、セキュリティー、次世代通信を5大産業と位置づけ、5大産業推進プランという産業制約を設定している。この5大産業推進プランを実行するにあたって、私は民間の経験を活用して今までとは異なるやり方でこの実行を進めている。 半導体について、現在台湾の強みはICの設計。これは世界2位の19%のシェアを持っている。製造では世界トップの67%のシェア。そして、組み立てとテストについても世界トップのシェアを持っているが、弱みとしては設備と材料の部分。設備についてはまだシェアが9%、そして材料については12%。この世界トップではない設備と素材の部分のシェアを全て倍増するという計画を持っている。その目標を実現をするために、半導体サプライチェーン(供給網)強靱化計画というのを作って、弱い部分を強化していくという取り組みを進めている。 ――次に世界でシェアを維持するにはAI産業の発展が不可欠だと思うが、台湾のAI産業発展戦略は? 現在私たちがやろうとしているのは、業界をまたいで応用ができるようなシステムの開発だ。例えば、小売業のAI、製造業のAIなど、業界を跨いで使えるようなAIの仕組みを作ることが一つ。そうすることによって成功のチャンスは高くなると思っている。アメリカの企業が持っている強みと正面から競争する気はない。
■取材後記
劉委員長は、日本をビジネスにおける“友好国”として、非常に期待を寄せていると感じた。半導体分野においては、日本は素材や製造装置に強いため、設計や製造に強い台湾と補完しあうことで、相互のビジネスの成長に繋がる。かつて半導体産業でトップの世界シェアを誇ったという奢りを捨て、日本政府は強みを生かした投資を行って経済成長を後押ししていく方がよいのではないだろうか。(報道局経済部・城間将太)