"半導体強国"台湾の政府高官 今後の日本の半導体「世界をリードすることは難しい」
■TSMCの第3工場の行方は?劉委員長が日本に求める3要素
――TSMCはすでに熊本に最先端の半導体を作るための第2工場の開設を決めているが、第3工場についてはどのような役割を果たす予定なのか? 私は政府のメンバーになってからもTSMCの取締役を務めている。まだ第3工場の計画というのは取締役会でも取り上げられておらず、台湾メディアが報じている段階なので今の段階で何か申し上げることは難しい。 ――最先端の2ナノ、3ナノメートルを第3工場で作っていく可能性は? 2ナノ、3ナノといった先進的な半導体は、TSMCではまだ台湾でしか生産する計画はない。最も主な原因は人材で、TSMCでは2人の成熟したエンジニアが1人の新人を率いることによって新人を教育していく。台湾以外ではこのような環境がまだない。ただ、いつか海外でもそのような条件が整ったらやるかもしれない。 先進的な半導体を海外で作るというのは、アメリカで進めている3つの試験的なラインがあり、そこがまずTSMCとしては現在は優先事項。そこが終わるまでは他のところに作るということはまだ考えていないと思う。ただ、TSMCが熊本に進出するにあたって、TSMCのメンバーも非常に日本市場に対して自信が強まっているので、今後そのような傾向が出てくる可能性はある。熊本の第1工場は年末に量産が始まる状況なので実際に量産が始まって運営がスムーズにいくかどうか、それによって決まってくると思う。 もし取締役会で第3工場を日本に作るという議題が上がってきた時に私が賛成するかどうか、その時に考える要素は3つ。1つ目、現在のTSMCの日本の工場がスムーズに、効率良く運営されているかどうか。なぜなら、台湾のTSMC工場の運営効率は非常に高いので。2つ目がマーケット。熊本工場はしっかりと受注が取れているかどうか、そして利益が出ているかどうか。3つ目が、サプライチェーン(供給網)がスムーズに回っているかどうか。もしこの3つの条件が備わっていれば、私は取締役会で賛成票を投じるつもりだ。