経産省が「環境配慮情報開示ガイドライン」公表 大手アパレルに26年までの開示を期待
これらは全てを「やらねばならないもの」ではなく、自社の特性と強みに合わせてどこから着手するのかを検討するのに役立つよう整理し一覧としたものだ。
また、例えばCO2の排出量については、「CSRD、IFRSサステナビリティ開示基準といった国際的な開示枠組では、スコープ1・2・3のすべてにおいて排出量の算出を求めている。本ガイドラインでは、経済産業省・環境省『カーボンフットプリント ガイドライン』に基づき算定を行うこととしている」と記すように、評価手法のグローバル基準と日本が採用すべき方法が具体的に書かれている。その前提にはグローバル基準に沿わない独自基準で算出・評価を進める企業も多いことへの危機がある。田上博道製造産業局生活製品課長は、「正しい情報を正しく発信し、理解しないといけない。まずはガイドラインをしっかり読み、自社社内で議論を初めて欲しい」と説明する。
このままでは産業自体がダメになる、今が瀬戸際だ
同ガイドラインは、同省と環境省が2023年に開催した「繊維製品における資源循環システム検討会」での議論をベースに、開催中の産業構造審議会製造産業分科会繊維産業小委員会での「繊維産業におけるサステナビリティ推進などに関する議論」における専門家たちとの意見交換を経てまとめられた。2つの会議では、国内需要が減少する中で繊維・ファッション産業が成長をするためには海外市場への創出が欠かせないこと、そのためにはグローバル基準でのサステナビリティ戦略を産業として、また個社単位でも進める必要性があることが繰り返し議題に上がってきた。
日本のファッション産業におけるサステナビリティ戦略に関する情報開示は、規制が進む欧州と比べると遅れている。議論とガイドライン制作の指揮を執った、田上課長はその現状に警笛を鳴らす。「これまでは価格と技術が競争力だった。これからはそこにサステナビリティという付加価値を載せていかなければ、生き残れない。国内需要が減少する中で、グローバルで戦っていかなければ産業自体がダメになる。環境・人権配慮と経済は両立できるかでなく、しないといけない。今が瀬戸際だ」。