横田めぐみさん弟、岸田首相にクギ「強い外交貫いて」全拉致被害者奪還へ 北の揺さぶり〝前のめり姿勢〟に懸念も
北朝鮮による拉致被害者の家族らが10日、岸田文雄首相と面会した。大型連休中に訪米した家族らは、米政府関係者らから強力な支援継続を取り付けており、米国の力も活用した取り組みを要望した。1977年に北朝鮮に連れ去られた横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)=の弟で、家族会代表の拓也さん(55)は面会後、報道陣に被害者奪還への思いを明かした。 「日朝の水面下交渉に大きく寄与するのではないか。日朝首脳会談実現へ活用してもらいたい」 拓也さんは、訪米中に面会した米政権高官が示した〝共闘姿勢〟を踏まえ、岸田首相にこう訴えた。 岸田首相は「米国の理解と協力を得ながら、北朝鮮への働きかけに一層力を入れる。国際社会と協力し、日朝首脳会談実現へハイレベル協議を続けたい」と意欲を述べた。 昨年5月以降、岸田首相は日朝首脳会談に強い意欲を示している。これに対し、北朝鮮は日本に〝秋波〟を送ったかと思えば、直後に「交渉の余地はない」と突き放すなど揺さぶりを強める。岸田首相が外交成果で政権浮揚を図るとの観測もあり、前のめりな姿勢に懸念の声も根強い。 こうしたなか、家族は「全拉致被害者の即時一括帰国」の早期実現だけを一貫して求める。 拓也さんは面会後、「(北朝鮮から)聞こえの良いだましのテクニックが提案されても、一切受け入れられない。要求水準を絶対下げることなく、怒りの気持ちを持ち続けた形で『強い外交』を貫いてほしい」とクギを刺した。