「栗きんとん」に隠された秘密。日本の銘菓は地方によってこんなにも違いがあった!
上生菓子の栗きんとんを出す店で畑さんの行きつけはありますか
京都の西陣にある『千本玉壽軒(せんぼんたまじゅけん)』です。三代目・元島真弥さんは茶道流派のひとつ、裏千家に入門し茶人の視点と感性を養った方。姉妹店『茶寮SENTAMA(せんたま)』では、お抹茶と合わせて楽しめます。 まさに上生菓子の世界における「栗きんとん」。非常にしっとりとして舌触りがよく、豊潤な栗の香りと共に、内側の黒こし餡のコクを堪能できます。苦みのあるお茶やお抹茶との相性も良いです。 まさに上生菓子の世界における「栗きんとん」。ひじょうにしっとりとしていて、豊潤な栗の香りと共に、内側の小豆こしあんの舌触りが良く、苦みのあるお茶やお抹茶との相性も良いです。 販売期間:9月下旬~11月下旬ごろ
他にもその地域ならではの栗きんとんはありますか
名古屋にも栗きんとんがあります。ただし、栗きんとんではなくこの地域では“栗粉(くりこ)”と呼ばれています。有名なのは名古屋市・中区錦にある和菓子屋「むらさきや」のもの。 茶巾絞りの栗きんとんは岐阜と類似して見えますが、食べると全く違うので驚くと思います。白小豆餡と国産和栗を炊き込んだ生地はしっとり。中にはなめらかなこし餡が入っていて甘さは控えめです。栗の風味と餡子の上品な味わいが織りなすハーモニーは格別ですね。 販売期間:毎年9月中旬~11月中旬ごろ
関東の栗きんとんはおせち料理の印象があります。その発祥はいつ頃ですか?
関東で栗きんとんと言えば、正月のおせち料理のイメージが強いと思います。こちらは明治時代に登場し漢字で“栗金団”と書きます。黄色い見た目と字の通り金運の上がる縁起物の食べ物として広く伝わったとされています。
今後、栗きんとんはどのように変化していくと思いますか?
栗きんとんの原材料は栗と砂糖のみ。至ってシンプルです。そのため、ネオ和菓子的なものを作るのは難しいと思います。可能性としては、何かを加えて進化系を作る方向ですかね。例えばブランデーとか。ただ、それを栗きんとんと呼んでいいのか僕には判断できない。 唯一僕が確信して言えることは、栗きんとんは素朴だからこそ飽きられることなく愛され続けてきた和菓子だということです。
ウフ。編集部 上野園果