経済効果累計1千万円超 商店街のアイドル“帰ってきたキューピッドガールズ”
ただ賑やかしているだけでは、馴染めない どうすれば盛り上げる力になれるかを考えた
取材に応じてくれた3人のうち、谷口を除く2人はすでに家庭を持つ母親。子育てもあり女優業はお休み中だが、キューピッドガールズの活動であれば稽古も時間を調整できるので継続しているという。いまでこそ商店街にも受けいれられ、いいムードで盛り上げに一役買う存在となれたが、当初は苦労もあったとか。 奥山は「ただ賑やかしているだけでは、馴染むことはできないんですよね。私たちも実際に商店街のお役に立ちたいと、まずはお掃除を始めたんです」。朝市の日、必ず掃除をすることに決めて、それを守った。そして、それだけではない。 「ステージにきてくださったお客さんと食べ歩きして、商店街の皆さんとコミュニケーションをとっていただくことを始めました」 どうすれば商店街を盛り上げる力になれるのか、一生懸命考え、行動を継続したことが、理解を生んだ。
「最初はお店の人たちに挨拶しても返してもらえなかったのですが、活動を続けるうちに皆さんから挨拶してくださるようになりました。いまでは、『あなたたちがいないとダメだ』とまでいってくださる方もいます」としみじみ振り返る市場。 谷口も、「いまは、スーパーのレジで会話もないのが普通だと思うんですけど、ここではお店の人とお話しながら買い物するのが当たり前。私たちのステージにきてくださるお客さんも、だんだんそれが楽しくなってきてくれて」と、ステージと商店街活性化の融合に手応えを感じている様子だ。
これからの目標を聞くと、「私たちだけじゃなく、私たちのような存在がまた商店街で生まれて、いろんな方が自分を表現することで商店街にもお客さんが増えればいいなと。そういうきっかけや呼び水になれればと思っているんです」と奥山。 安さや便利さだけではなく、地域のコミュニティーとしての機能も果たす商店街。これからも残って欲しい日本の景色だ。 (取材・文・撮影:志和浩司)