【DDT】8.25KO-D無差別級王者・上野勇希8度目の防衛戦「青木真也と戦うのが怖い」
――それは火中の栗を拾うようなものですよね。 上野:ベルトを賭けるリスクは常にあるわけです。もうリスクばっかりなんですよ。 でも、そうじゃないと、上野勇希として上野勇希をもっと深めることができない。DDTで満たされていても「僕がやらないといけない。もっと自分を生きないといけない」って自分自身を鼓舞して。もちろん、僕はDDTだしDDTは僕だと思う。だから、僕はチャンピオンなんだ。 DDTがそうやってごちゃ混ぜになっておもろくなるっていうのは、僕自身が成長しているのと同じなんですけど、DDTがぐっと上がった目盛りよりも、僕は常に上がり続けないといけない。 そうじゃないと進んでいかない。 昨年11月にKO-D無差別級チャンピオンになって、今年7月までの8カ月間で、少なくとも僕はDDTの目盛りを上に引き上げたと思うんですよ。 それなら、僕ももっとこのDDTの持っている面白さを超えないと次に進めない。だから次は、青木真也なんです。 ――その青木選手とは8月25日後楽園大会での対戦が決まっていますが、「いつでもどこでも挑戦権(=いつどこ)」の復活で、現時点で4人(KANON、勝俣瞬馬、高梨将弘、中村圭吾)が挑戦権を保持しています。8.17横浜ラジアントホール大会での試合後、アントーニオ本多選手が挑戦権を行使しました。 上野:本多さんは僕の初めての“いつでもどこでも挑戦者“になりました。アントーニオ本多はアントーニオ本多として生き続けている「最高の男」。「いつどこ」はそんな気軽なもんじゃない。勇気をもって、アントーニオ本多を受け止めました。 僕は常に狙われる状況にあるということは、僕がリスクを背負えば背負うほどお客さんにとっては面白いし、 チャレンジャーたちはいっぱい自分のエネルギーを費やしてプロレスに、そしてDDTに向き合わないといけない。そのほうが興奮します。 「いつどこ」って、いつでもどこでも挑戦できるという飛び級みたいな受け取られ方をされがちなんですけど、そんなことはないんです。むしろ、自分たちが積み上げてきた人生を賭け、成し遂げるために使うもの。 この僕もそれは同じで、いつでもどこでも挑戦してもらえるはずが、チャンピオンじゃなくなったら、そこには僕はいないわけで。 いつでもどこでも挑戦できるというチャンスが 、今しかないかもしれない。僕はみんなに挑戦してもらいたい。 ――最後に、8.25後楽園大会でのKO-D無差別級選手権試合、防衛戦に向けて意気込みをお願いします。 上野:僕は青木真也のようなプロレスラーになりたい。青木真也のように、「上野勇希が上野勇希として生き続けるプロレスラーになりたい」と思います。その想いで僕は今チャンピオンでいる。 青木真也と戦うのが怖い。でも楽しみな気持ちもある。僕の存在はKO-D無差別級のベルトにあって、青木真也はその存在を賭けろっていう。今 僕がチャンピオンだからベルトの価値があると思うけど、僕はチャンピオンであることにしか価値がないと思っている。 全身全霊、全部賭けていきます。怖いけど、それを乗り越えて、青木真也を倒さないといけない。その先にしか僕は進めないから。 (おわり) <プロフィール> 上野勇希(うえの ゆうき)1995年9月1日生まれ。大阪府八尾市出身。身長174cm、体重78kg。中学では陸上、高校では器械体操に取り組み、同級生だった竹下幸之介の闘う姿に心を打たれてDDT入団を決意。2016年10月17日、DNA新宿FACE大会にて、樋口和貞戦でデビュー。打点の高いドロップキック、飛距離のあるダイビング・ボディープレスで場内を沸かせる 魅力的なレスラー。2023年11月12日両国国技館大会にて王者クリス・ブルックスを破りKO-D無差別級王座を奪取。ユニット「The37KAMIINA」(メンバー:竹下幸之介、勝俣瞬馬、MAO、To-y、上野)に所属。プロレスラーのかたわらドラマ、CM、ラジオなどのメディアでも活躍。 主なタイトル歴:KO-D無差別級王座(第82代)、DDT UNIVERSAL王座(第4代、第8代)、KO-Dタッグ王座(第67代)、KO-D6人タッグ王座、KO-D10人タッグ王座など。
取材/大楽聡詞・文/黒澤浩美