ロイヤルHDが空港や高速道SAで表に出ない存在感…飲食店運営受託で業績も回復軌道、世界を視野に成長
ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」を展開するロイヤルホールディングス（HD）が、空港内などの飲食店運営を受託する事業で存在感を高めている。主力ブランドを表に出さない店舗もあり、コロナ禍で落ち込んだ外食産業を支えながらグループの業績も回復軌道に乗せた。創業地の福岡から世界を視野にさらなる成長を目指す。（佐藤陽） 【写真】シンガポールにオープンしたロイヤルホスト
売上高26％増
福岡空港国内線ターミナルビル3階のレストラン街にあるとんかつ店「黄金色の豚」で9月上旬、訪日客やビジネス客らが提供されたとんかつをおいしそうに食べていた。
ロイヤルHDの子会社が運営する店舗だが、ロイヤルブランドを前面に出していないため、来店客が店名でロイヤルHDの店舗と気づくことはほとんどない。施設の管理会社などから個別の飲食店運営を請け負う「コントラクト」と呼ばれる事業で、同店は7年前に空港ターミナルビルの運営会社から受託した。
国内では福岡に加えて鹿児島や羽田など11空港で計37店（6月末現在）の運営に携わっており、今月は熊本空港でもオープンした。高速道路のサービスエリア（SA）の店舗運営も多く請け負っている。
ロイヤルホストなど主力ブランドに適した出店地で展開する外食事業と異なり、コントラクト事業は各施設の立地や客層、委託元の要望を踏まえて出店する業種・業態を決めるため、ロイヤルブランドを出さないラーメン店やうどん店にすることも少なくない。
コロナ禍で閉店した飲食店の跡地を任されるケースも増えたことでコントラクト事業の2023年12月期の売上高は435億円とコロナ禍前（19年12月期）より26％伸び、主要4事業で最も大きい外食事業（618億円）に迫りつつある。
25年の大阪・関西万博の会場で働く従業員用の食堂運営も内定しており、ロイヤルHDの佐々木徳久専務執行役員は「どのロケーションにも対応できる業態の多さが強みだ」と話す。
集中調理
ロイヤルHDは1951年、板付飛行場（現福岡空港）で機内食の納入を始めたのが起源だ。53年に福岡市に開業したフランス料理店には翌54年にマリリン・モンローが訪れたとの逸話があり、モンローが使ったテーブルとイスは現在も、同市中央区でロイヤルHDが運営するレストラン「花の木」にある。
