テザー、企業や国家による資産トークン化を簡素化する新プラットフォーム「Hadron by Tether」を発表
暗号資産(仮想通貨)業界で第3位の時価総額を誇るテザー(USDT)を開発したテザー(Tether)社は11月14日、パオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)CEOが数カ月間ほのめかしていた、資産トークン化サービスを開始したと発表した。 「Hadron by Tether」と呼ばれるこのプラットフォームは、債券、商品、株式、その他のステーブルコイン、ポイントプログラムなど、幅広い現実世界資産(RWA)をブロックチェーン上のデジタルトークンに変換するプロセスを簡素化するために設計された。 ブログ投稿によると、テザー社がこの新しいプラットフォームで目指すのは、「国家や企業による代替的な資金調達と資本市場の機会」を開放することだという。 このサービスはトークン化の全ライフサイクルを網羅しており、リスク管理、顧客確認(KYC)、マネーロンダリング防止(AML)のコンプライアンス、二次市場のモニタリングのためのツールも含まれている。テザーの広報担当者は、CoinDeskへの電子メールで、このプラットフォームは当初、イーサリアム(Ethereum)、アバランチ(Avalanche)、ブロックストリーム(Blockstream)のビットコインスケーリングネットワークのリキッド(Liquid) をサポートし、「まもなく」テレグラムに関連するTONネットワークやその他のスマートコントラクトチェーンを追加する予定だと述べた。 「『Hadron by Tether』は金融業界を大幅に改善すると確信している」とテザーのパオロ・アルドイノCEOは声明で述べた。「我々の目標は、企業や政府に新たな機会を創出することであり、同時に暗号資産の分野をよりアクセスしやすく透明性の高いものにすることだ」。 暗号資産と伝統的金融の狭間で注目されているトレンド、RWAトークン化へのテザー社の進出は、同社が収益性の高いステーブルコイン事業からの多角化を目指している中で行われた。同社は1260億ドル(約19兆5300億円、1ドル=155円換算)のステーブルコインUSDTと6億ドル(約930億円)のゴールド(金)担保トークンXAUTを発行しており、今年に入ってからグループ全体で77億ドル(約1兆1550億円)の純利益を計上したと報告している。その大半は、800億ドル(約12兆4000億円)のアメリカ国債の利回りによるものだ。同社は、その利益をスタートアップ企業、ビットコインマイニング、エネルギー生産、AIへの投資に充てている。 トークン化は、より効率的で透明性が高く、安価な運用を追求して、世界の銀行や暗号資産企業が従来の金融商品をブロックチェーンに乗せようと競い合っていることから、潜在的には数兆ドル規模の産業となる可能性がある。 アルドイノ氏は4月に、テザーのトークン化プラットフォームの計画の概要を初めて説明した。同社はまた、農業商品トークン化のスタートアップ企業であるアグロトークン(Agrotoken)の創設者で、一部の所有者でもあるラテンアメリカの農業企業に1億ドル(約155億円)を投資した。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:テザーのパオロ・アルドイノCEO(Tether)|原文:Tether Unveils New Platform to Simplify Asset Tokenization for Businesses, Nation-States
CoinDesk Japan 編集部