米企業の業績見通し、ストラテジストの意見分かれる-株価伸び悩む中
(ブルームバーグ): 米企業が今年の業績について力強い見通しを示せるかどうかを巡り、ウォール街大手銀行の株式ストラテジストの間で意見が分かれている。
モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏は、2024年から25年にかけて景気が力強さを増し、利益の伸びが改善するとの見通しを示した。一方、JPモルガン・チェースのストラテジスト、ミスラフ・マテイカ氏は、インフレやドル高、最近の地政学的緊張の高まりが見通しを曇らせていると主張する。
同氏はリポートで「S&P500種株価指数構成銘柄の1株当たり利益が第4四半期までに、第1四半期の推定水準から20%近く加速すると投資家は予想している。この増益率見通しは急過ぎる」と指摘した。
米国株の上昇が米国債利回りの急上昇によって減速している現在、業績に注目が集まっている。S&P500種は第1四半期に何度も史上最高値を更新したが、金融当局が高金利を長期にわたって維持する方針を示唆したため、4月に入ってからは5%余り下落している。
ウィルソン氏もマテイカ氏もここからさらに上昇するには、金利よりもむしろ業績に圧力がかかるだろうと言う。
しかしマテイカ氏は、市場は「今後1年間の大きな下振れリスクを織り込んでいない」とし、「自己満足」になお浸っていると指摘。同氏は今年に入ってからも米国株に対して弱気な発言を続けている。
ウィルソン氏はS&P500種が23年に24%上昇したにもかかわらず、屈指の弱気派だったが、株価に対してもっとバランスの取れた姿勢を示している。新規受注に裏打ちされた企業活動調査の回復が「今後の業績拡大の継続を裏付けている」と説明した。
さらに「この点を考慮すれば、慎重な楽観論はまだ正当化されると思う」と主張。収益拡大の大部分はこれから年末にかけてもたらされると予想している。短期的には、債券利回りが現在の水準にとどまった場合、S&P500種は最大5%の下落に直面すると述べた。