巨人・桑田のクセを丸裸にした打撃職人、和田豊氏が佐藤輝の覚醒を後押しする 「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記
和田氏は現役時代、阪神一筋17シーズンで1739安打。1993年には161安打でリーグ最多安打をマークし、97年には開幕から24試合連続安打を記録しています。相手バッテリーの配球を読み、投手の投球フォームの癖を見抜くことで定評がありましたね。全盛期の巨人・桑田真澄投手(現巨人2軍監督)のフォームの癖はすべて把握していて、投げてくる球種はほぼ100%分かっていたと聞いたことがあります。
あくまでも客観的な見方ですが、今の佐藤輝に加味したい、一番の部分ではないでしょうかね。何か根拠を持って打席に立ち、打つ球種やコースを絞ることができるようになれば、サトテルの破壊力は一気に増すのではないか…と思えてなりません。相手バッテリーにとって最も厄介な打者になるためのノウハウを和田氏から吸収できれば、一皮むけた強打者が誕生するような気がしてなりません。
■辛辣発言は期待の裏返し
岡田前監督は事あるごとに佐藤輝には辛く当たりました。今季も5月14日の中日戦(豊橋)で捕手・坂本の送球を落球し、チームが負けると「あれで終わりよ。キャッチボールよ」と激怒して即刻2軍に落としました。6月7日の西武戦(甲子園)から1軍に復帰しましたが、その後も何かと辛辣(しんらつ)な言葉を残し続けました。でも、本当に憎いから、嫌いだから…辛く当たったのではなく、大いなる希望を感じ、誰よりも将来性に期待していたから、言葉も強くなったはずです。
佐藤輝はもっともっとできるはずです。もっともっとできたならば、来季の阪神の攻撃力は格段の破壊力を持ち、V奪回が見えてくるでしょう。和田氏との新たな接点が覚醒へのきっかけになってほしいものです。
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【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。