巨人・桑田のクセを丸裸にした打撃職人、和田豊氏が佐藤輝の覚醒を後押しする 「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記
では、来季の攻撃力はどうする? 誰がどう考えてもポイントになる選手は佐藤輝でしょう。4年目の今季は打率こそキャリアハイの2割6分8厘ですが、本塁打はプロ入り後、最少の16本塁打。打点も昨季の92から70に落としています。それでいて、得点圏打率は優勝した昨季の2割7分3厘から3割2分2厘に向上させていますね。つまりチャンスでは昨季よりも今季の方が打っているのです。
「チャンスで打っているのに、そんな勝負強さを感じないのはチームが優勝できなかったからでもあるだろう。ただ、言えるのはチャンスでの凡退の姿が悪すぎるからではないか。あっけない、もろさを感じる三振とかがイメージとして頭に残るから、勝負強いと感じないのではないか」とは阪神OBの言葉です。
■新たな出会い
プロ入り1年目から本塁打数は24本、20本、24本ときて16本。打点は64点、84点、92点から70点。佐藤輝に対するチームやファンの期待は、一発長打で試合の流れや勢いを持ってくる。そういうイメージも薄れてしまった今季の打席だった…とも言えるはずです。なので得点圏打率が向上しているのに、何だかサトテルに物足りなさを感じてしまう。阪神ファンは昔から無い物ねだりなのかもしれませんが、逆に言うならば佐藤輝はタイガースのスター選手の宿命を背負っていると表現できます。
佐藤輝も自身に対する物足りなさを痛感しているのでしょう。高知・安芸で行われる秋季キャンプ参加を口にして「負けたヤツの特権というか、(今オフは)練習できるので、しっかりやっていきたい」と捲土(けんど)重来を誓っています。今季をリセットして来季に向けて練習する-。プロの選手として当然の心構えです。
そうしたタイミングで、新たな出会いが待っています。阪神は21日、来季のコーチ陣を発表し、和田2軍監督は「1・2軍打撃巡回コーディネーター」に配転されることになりました。当然ながら佐藤輝の打撃も指導の範囲になるのです。