大岩ジャパンで自信を掴んでも変わらない謙虚な姿勢。パリ五輪を見据える関根大輝が踏み出した新たな一歩
浮き足立たずに自分と向き合う
高いレベルを求めていく意思を示したように、周りからの見られ方が変わっても、サッカーに向き合う姿勢は同じ。そうしたスタンスは、柏で戦う際の心構えにも表われている。 「本戦はもっと過酷な戦いというか、パラグアイとか本当に良いチームで、ボールを持たれて耐えて一発を決める展開になる可能性もある。そういう意味では、今日も11対11で戦っている時間帯はかなり押されていたので、パリ五輪でも想定されるシチュエーションでした。自分とサイドハーフの関係もそうですけど、守備の連係面は今のうちからやっておけば、本戦でも問題なく守れると思う」 パリ五輪までに海外勢と対戦できる機会は数回ほど。浮き足立たずに自分と向き合えている点は頼もしい。 チームとしてパリ行きが確定したが、個人としては何も決まっておらず、メンバー争いはここから佳境を迎える。残された時間は1か月前後。「ここからが本当に厳しい戦い」と関根が話した通り、23人で戦ったU-23アジア杯から五輪は18人にメンバーが絞られる。 24歳以上の選手を起用できるオーバーエイジ枠、U-23アジア杯では招集できなかった海外組が戻って来れば、さらに枠が狭くなるだけに、圧倒的なパフォーマンスを見せなければ本大会行きは勝ち取れない。 だが、関根は過度にプレッシャーを感じていない。楽しみな気持ちを持ちつつ、謙虚な姿勢で最後の争いに挑もうとしているからだ。「ワクワク感がある。アジアカップは試合に出させてもらったけど、常に下から自分は這い上がってきた立場。代表の常連でもない」と言い切り、再び一から積み上げていく考えで生き残りレースに挑む。 「メンバー争いはまたフラットになったので、今日の試合もそうですけど、もっと良いパフォーマンスを出さないと、また選んでもらうことはない。今月は試合が多いのでチャンス。もっと良いパフォーマンスを出せるようにやっていきたい」とは関根の言葉。 拓殖大サッカー部を退部し、プロ入りを1年前倒して今季からプロサッカー選手になった男は、どんな状況でも変わらない。自信を深めたU-23アジア杯の成果は胸にしまい、まずは柏で圧倒的なパフォーマンスを見せることだけを考えて技を磨く。 取材・文●松尾祐希(サッカーライター)