「競輪から薬学へ」元ガールズケイリン選手が薬剤師を目指す“意外なワケ”
共に走ったガールズ選手が今の原動力に
そして、今の橋本さんに影響を及ぼしているもう一つの存在が一緒にレースを走ったガールズ選手たち。なかでも、苦楽を共にしてきた114期メンバーの影響は大きく、今の彼女のモチベーションの一因になっていたのだ。 「ガールズケイリンは7人いるからできるのであって、決して一人ではできません。選手時代の一走一走の積み重ねが今の自分を作っているので、一緒に走ってくださった選手の方々には本当に感謝しています。特に、同期の佐藤水菜選手が『世界のサトミナ』になって、本当に凄いなと思うし、心からおめでとうって言える半面、正直悔しい気持ちもあって……。私は競輪では大きな成績を残せなかったけど、これから競輪とは別の世界で彼女みたいにトップを取りたい、絶対に世の中に何かを残したい、というモチベーションに繋がっています」
元選手としての意識は決して忘れない
引退した後でも、相談に乗りアドバイスをくれる教官や師匠、そして、新たな人生を歩んでいく中での原動力になっている同期たち。そんな素晴らしい人たちに囲まれている橋本さんには、日頃から意識していることがあった。 「選手としては短い期間でしたが、競輪の世界に入って関わったすべての人に対して、感謝の気持ちでいっぱいです。スポーツ未経験で、身体もヒョロヒョロのモヤシみたいな私を見捨てず、競技面だけでなく人間的にも大きくしてくれたわけですし。だから、私も元選手として競輪に泥を塗ってはいけない、一度背負った競輪という看板は下ろせないという意識があります。将来的には、今の分野で何か形に残せるものを作り出して、これまでお世話になった人たちに恩返ししたいと思っています」
舞台は変われど一流を目指す気持ちは変わらない
「たまたま私の周りには良い人がたくさんいて、本当に恵まれていました」と笑顔で語っていた橋本さん。だが、それは彼女が目標に向け必死に努力している姿、真摯な思いがしっかりと周りの人に伝わっているからこそ力を貸してくれるのであって、「たまたま良い人がいた」ではなく「必然的に良い人が集まってきた」のではないだろうか。 周りの人たちからのアドバイスをしっかりと自分の中に取り込み、コツコツと努力を積み重ねる彼女だけに、今後研究していく分野で偉業を成し遂げトップを取るのは、遠い未来の話ではないかもしれない。 取材・文/サ行桜井 【サ行桜井】 パチンコ雑誌『パチンコ必勝ガイド』『パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主にパチンコや競輪の記事を執筆している。
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