人気No.1は「おばんざい定食」! 昼は定食、夜は居酒屋の顔を持つ理想の一軒が新宿御苑前に誕生
例えば「ニラのお浸し」。ただゆでて醤油をかけただけという安易なものではなく、“お浸し”の名の通り、湯がいた後にきちんとだしに浸し、味を含ませている。更には、上に黄色みの濃い「こだわり卵 蘭王」の卵黄をのせてビジュアル的にもひと工夫。お浸しとはいえ、インパクトのある一皿に仕上げている。
割烹料理店と違ってお椀を出す必要がない分、だしも吸い地用の一番だしではなく二番だし。櫻井さん曰く「血合い入りの本枯節と真昆布でとっています」とのことで、水出しした昆布水に鰹節を入れ、30分ほど静かに煮出してうまみを抽出している。この方がコクを出したい煮物などの料理には向ているのだ。このだしが、まさに味の要の一つ。先のお浸しや煮物、だし醤油に炊き込みご飯にと八面六臂の活躍を見せている。
だしと同様に、櫻井さんがここでやりたかったのは炭火焼き。「炭台は絶対に置きたかったんです」と一言。その言葉を裏付けるように、昼の定食に夜の一品料理にと大活躍。「炭火は、火力の強さと焼いた時の香ばしい風味が何より魅力ですね」と櫻井さん。
炭は、高知の土佐備長炭。
強火で軽くサッと炙って、香り豊かに楽しませてくれるお造り代わりの「ブリの藁焼き」や「マグロ炭火たたき」各1,800円、焦がさぬよう遠火で休ませながらじっくり火を入れていく「さわら味噌幽庵焼き」1,700円等々食材や料理に応じて、炭火を巧妙に操っている。
ランチの定食メニューでもある「さわら味噌幽庵焼き」は一切れのカットもダイナミック。食べ応えもあり、しっかり漬け込まれたそれは、甘さを控えたコクのある味。日本酒はもとより、ご飯を呼ぶこと請け合い。
そのご飯も土鍋で提供。「炊き立ての白ご飯」1,600円もいいが、今の季節なら「ズワイ蟹の土鍋ご飯」3,500円~を試してみたい。
お米は群馬・川場村のコシヒカリ「雪ほたか」。友人が育てている米だそうで、一般にはあまり出回ることがない“幻の米”なのだとか。「粒立ちがよく艶があり、冷めてもおいしいお米です」と櫻井さん。これを、だしとみりん、薄口醤油で炊き、蒸らす時点で蒸してほぐしたズワイ蟹を投入。蟹の風味とエキスを米に移して完成となる。