笑顔でガッツポーズする橋木太希騎手（撮影・白石智彦）

　 ルーキーの橋木太希騎手（18＝西園正）が9月29日に待望の初勝利を挙げた。全国若手騎手の登竜門「2024ヤングジョッキーズシリーズ」ではトライアルラウンド（TR）の突破を既に決めており、12月12日園田＆同14日中京のファイナルラウンド（FR）を見据える。今回の「ケイバラプソディー　～楽しい競馬～」は、大阪・明神理浩記者が勢いづいてきた同騎手に迫った。 　地方と中央の若手が腕を競うヤングジョッキーズシリーズ（YJS）。橋木騎手はTRを6戦して勝ち星こそなかったものの、計6戦で2着が4回。トータルポイントで12月のFR出場を決めた。 　安定感を示したものの、勝てない苦しさも味わった。9月26日の佐賀では、同5日園田に続いて2戦とも2着。「焦りはあったかもしれません。佐賀の1戦目は勝ち急いでしまってけっこう内によれてしまいました。あれがなければ1着の馬といい勝負ができたかもしれません。2戦目は一番悔しかったです」と振り返る。 　そんな地方での戦いは、確かな糧になった。佐賀で心の底から悔しい思いをしたわずか3日後の中京6R。師匠でもある西園正師の管理馬シャープソーンで、待望のJRA初勝利。「今まではどっちかというと置きにいった競馬というか、ただ回ってくるだけの競馬が多かったですが、最近はちょっと自分から主張していくことが多くなりました」。デビュー初の美酒によって、意識レベルで明らかな変化をもたらしている。 　YJSには、地方で若くして結果を残している騎手も出場している。「園田の長尾翼玖（たすく）さんとはよくしゃべらせてもらっています。活躍されているんで、いろいろ聞かせてもらいました」。長尾騎手はデビュー4年目の22歳。若手同士、いろいろと吸収してレベルアップにつなげている。 　12月のFRは絶好のアピール機会になる。「園田はトライアルラウンド、交流で乗せてもらって特徴とか大分わかってきてます。中京は個人的に好きなコース。勝たせてもらった舞台でもあるので全力で頑張りたい」。さらに、その先には中央の舞台でもっと光り輝く必要もある。 　「1個1個大事に乗って、1つでも多く勝てるように、同期を逆転できるように頑張りたいです。勝てない悔しさは同期の中で一番味わっています。負けない気持ちを前面に出していきたいです」 　橋木騎手には風雪に耐えた蕾が開花していくような活躍を期待したい。 　◆橋木太希（はしき・たいき）2006年（平18）3月27日、大阪府生まれ。栗東・西園正厩舎所属。24年3月2日小倉でデビュー。先週終了時でJRA通算90戦1勝。159．3センチ、47．5キロ。 　◆ヤングジョッキーズシリーズ　17年から始まり今年で8回目。地方所属騎手は4月1日時点の減量騎手、JRA所属騎手は同日時点の見習騎手が出場。東日本地区は地方所属21人、JRA所属14人がTR門別、川崎、大井、浦和、盛岡、船橋で、西日本地区は地方所属17人、JRA所属16人がTR園田、名古屋、高知、佐賀、笠松、金沢で騎乗。各場で2競走を行い、1人あたり合計4～6競走に騎乗予定。各地区の所属別上位4人、計16人が12月12日園田、同14日中京のFRに進出する。