中日を追われた2人が巨人の救世主
この日は、1軍昇格即、「6番・左翼」でのスタメン起用となったが、試合前の打撃練習の気持ちのこもったスイングを見てスタメン抜擢を決めたという。 「緊張もあり、高ぶりもあり、興奮もありのなかで、よく結果を出した。なんというのか、野球というスポーツは、気持ち、魂が奮い立たせるものだと、彼に教わった。ジャイアンツの選手にいい刺激になったと思う」 中日を追われ、もう後がない男だからこそ、ひたむきにプレーする。それは古巣や落合GMへの恨み節ではなく、野球というスポーツを職業に選んだ男のプライドだった。そういうむき出しになった魂こそ、原監督が、今の巨人に足りないと感じている部分だった。 背番号「91」のヒーローは、お立ち台で感謝の気持ちを伝えた。 「感謝の気持ちで一杯です。こうしてとっていただいたので、絶対に恩を返すんだという気持ちでやりました」 今、こうして東京ドームでスポットライトを浴びているのが夢のようだ。 打線が大不振。しかも怪我人が多数出るというチーム状況にも恵まれたが、そういうチャンスを引き込んだのは、堂上の野球に賭ける思いと、残してきた結果なのだ。 井端は「やられたらやり返す」と宣言した。広島で同一カード3連敗を喫したことを指してのリベンジ宣言。痛めた右膝は万全ではないが、「明日もいくつもり」と言う。 「井端と堂上の5、6番が機能した。もう少し我慢して2点を取って勝つ野球をします」 原監督は、3試合続けて2得点止まりの打線を皮肉ったが、中日を追われた2人が、低迷中の打線へのカンフル剤となれば文句はない。この日ファームでは、阿部、坂本がフル出場して、いつでも1軍復帰できる状況をアピールした。役者が揃いだせば、やはり巨人は大本命。なにより一度、地獄をみてきた元中日コンビがいるのが心強い。