中国の補助金が貿易黒字に拍車との見方は「見当違い」-IMF分析
(ブルームバーグ): 国際通貨基金(IMF)は、中国政府の補助金やその他の産業政策が同国の貿易黒字増加を助長しているとの懸念は見当違いだと述べた。中国が過剰生産によって世界中で不当廉売しているとの米国の主張を暗に批判したものだ。
IMFのトップエコノミストは12日に発表した分析で、中国の製造業者への支援は輸出にわずかな影響しか与えていないと述べた。分析は、中国政府の支援がソフトウエアや電気自動車(EV)、半導体、グリーンテクノロジーといった分野に集中しており、こうした分野の製品が輸出に占める割合はわずかだと指摘した。
中国政府の通商・産業政策が、他の経済圏で解雇や工場閉鎖といった第二の「チャイナショック」につながる可能性があるとの見方は、ホワイトハウスや米財務省では一般的な見方だ。だが、IMF当局者はこの見解について「不完全なものでしかなく、マクロ的な視点に置き換えるべきだ」と述べた。
分析は、「対外収支は最終的にはマクロ経済の基礎的条件によって決定されるもので、通商・産業政策との関連性はより希薄だ」としている。チーフエコノミスト、ピエール・オリビエ・グランシャ氏率いる分析スタッフは、IMFの最大出資者である米国政府を明確に批判したり名指ししたりはしなかった。
中国の産業政策を懸念しているのは米国だけではない。中国製の安価な商品が世界市場に流入したことで、南米や欧州でも反発が起きている。
とはいえ、この分析は、米国で民主党と共和党の双方で支配的になっている中国に対する考え方への明白な反論だ。米政府高官は、米国の地政学上の最大のライバルに対する敵対ぶりを競い合っている。
また、この分析は、米国の赤字、債務、貿易政策を痛烈に批判した6月の年次審査に続くものでもある。
IMFは分析で「輸出主導型の成長モデルは、もはや経済の青写真ではない」とし、中国に対し、内需拡大を目的とした改革を通じて「経済の再均衡化」を図るよう促した。