カープ先発陣の柱・九里亜蓮が語る2023年「悔しさがありますし、勝ちたかった」
2023年、カープは5年ぶりのAクラスとなる2位となった。新井貴浩新監督のもと、全員野球で戦う中で中堅選手たちの踏ん張りも目立った。投手陣ではプロ10年目の節目を迎えた九里亜蓮が年間通じて投手陣を支えた。 【写真】2024年のチームスローガン「しゃ」を掲げる堂林翔太 先発の柱の1人として開幕からローテを守り続けて、リーグトップのイニング数を記録するなど、5年ぶりAクラス入りに大きく貢献した。クライマックスシリーズでは中継ぎ登板、先発とフル回転した。 ここでは、昨シーズン後に収録した背番号11のロングインタビューを改めて振り返る(全3回・前編) ◆模索し続けた10年目 悔しさが残るシーズン ─2023年はどのようなシーズンでしたか? 「クライマックス・シリーズ(以下CS)で負けて終わったシーズンなので、悔しさがありますし、勝ちたかったですね。ただ、悔しい気持ちを忘れる必要はないと思うので、来シーズンに向けて良い時間にできるように練習するしかないと思っています。日本シリーズも見ていましたが、やぱりあの舞台で、先発として投げたかったですね」 ─プロ10年目という節目の年でした。10年目を迎えるにあたり思い入れなどはありましたか? 「“10年目だから”という意識はあまりありませんでしたが、2022年はあまり良い成績を残せなかったので、同じ状態では勝てないと感じていました。その状況を変えるために2022年オフにアメリカに行って、いろんなことを取り組んでやってきた1年間でした。ただ、完璧にものにできたことはほぼないと思っています。まだまだレベルアップできると思っていますし、そのためには基礎的な体力、体の強さというものが必要になってくると思うので並行して取り組んでいこうと思っています」 ─長いシーズンの中でメンタル的、技術的に昨年よりも良い意味で変わったと感じることはありますか。 「それが特にないんです。まだまだ、納得できていない部分のほうが僕の中では多いのかなと思いますし、ずっと模索していたシーズンでしたね」 ─技術を取得するというのは難しいものなのですね。 「アメリカの自主トレで投げることに関して、感覚的な部分ではすごく変わったところもありました。ですが、それに馴染んで自分に落とし込むまでには時間がかかりました。またそれがある程度できるようになって次のことを取り組むと、できていたことがまたできなくなったり……試行錯誤が続いていました」 ─レギュラーシーズンは先発の柱として26試合に登板し、8勝8敗、投球回数はリーグ最多の174・1回を記録しました。数字に対しての自己評価はいかがでしょうか? 「イニング数に関しては、こだわりを持ってやってきたので、170イニングを超えられたことは良かった点だと思います。ただ今シーズンだけで終わってはダメだと思いますし。来年は年間180イニングは投げられるようにレベルアップしないといけないと思っています。そこには引き続き強いこだわりを持って、改善していけば達成できると思っています」 ─26試合に先発し、クオリティスタートは16試合でした。先発としてこの数字をどのように捉えていますか? 「26試合中の16試合ですからね。10試合できてないということですから、そこはもっと追い求めていきたいですね。ただ、最終的な結果で考えれば良いとも思っていますし、『なんとかチームに勝ちがつくような投球ができれば』と思い常にマウンドに上がっています。この数字を見るとやはりその10試合は、チームの勝ちに貢献できるような投球内容ではなかったという捉え方になります。そこも含めてレベルアップしないといけないと思う材料です」 ─自身の登板のなかで一番印象に残る、もしくはターニングポイントになったと感じる試合を聞かせてください。 「5月17日のDeNA戦(横浜スタジアム)ですね。8回に、牧(秀吾)選手に3ランホームラン、ソト選手にソロホームランを連続で打たれた試合です。あの場面は、8回も任せていただいてマウンドに上がりました。チームが負けてしまうようなイニングにしてしまったので……、すごく記憶に残っています」 ─良い場面よりも、苦い場面の方が記憶に残るものなのですね。 「良いことはもう覚えてないですね(苦笑)。やはり苦い記憶の方が強烈に残ってしまいますね。この試合から後の登板は、当たり前なのですが『任されたイニングはしっかりゼロで抑える』と強く思っていました。そう思っていても、やっぱりできない試合もあったので、常々自分の意識は低いなと思わされますね」
アスリートマガジン編集部