『FFXIV』最新拡張パッケージ『黄金のレガシー』のサウンドトラックがリリース! 祖堅正慶・今村貴文・石川大樹・矢崎早彩にテーマ曲と蛮神戦曲の制作意図を聞く【インタビュー】
蛮神戦楽曲の制作意図
◆実際に収録されている楽曲についてお聞かせください。まずはメインテーマの「Dawntrail」から。 祖堅:開発チームからは「夏休み感、明るいのがいい、わーわーしている感じで」というオーダーがあり、その通りに作ろうと思っていました。ただ、サントラのコメント(今作Blu-rayの本編映像再生中に読める、各曲のミュージシャンズコメント)にも書きましたが、どうやら僕はこういう真面目に明るい曲を作るのが苦手みたいでして……。 暗い曲とか、逆境に立たされて奮い立つときの曲とか、そういうのは得意なんですけど、底抜けの明るさ・太陽みたいなイメージの曲を作るのは得意じゃないみたいです。なので、制作が大変ではありましたが、最終的には(演奏している)THE PRIMALSが何とかしてくれました(笑)。 ◆続いて、他のお三方が制作のなかで印象に残っている曲を教えていただければと思います。 石川:どれもこれも印象に残っていますね。 今村:この3人が共通している楽曲でいえば、蛮神の曲かな。 ◆では、それぞれが制作した蛮神の曲についてお聞かせいただければと思います! 矢崎:私は「The Skyruin ~ヴァリガルマンダ討滅戦~」の編曲を担当しました。この曲はメインテーマの「Dawntrail」と「山峡の涼風 ~オルコ・パチャ:昼~」の楽曲のアレンジをミックスして入れているんです。ただ、「オルコ・パチャ」の曲はそこまでの激しさはないので、最初はもう少しテンションが軽めのアレンジで作っていたんですよ。そしたら祖堅さんから「蛮神戦の曲はこれじゃだめだ」と言われて、めちゃくちゃ迫力を足したんです。 ◆蛮神戦らしいアレンジにしたというか。 矢崎:そうですね。特にヴァリガルマンダ討滅戦って、フェーズごとにフィールドや使ってくる技の属性が変わるので、楽曲にもそういうイメージを取り入れたいと思ったんです。序盤は激しかったり、途中はしっとりして氷や雪っぽさを入れたりと、コンテンツが絵替わりする感じを曲でも表現したいと思って作りました。締め切りギリギリの提出になってしまいましたが、結果的にコンテンツにもストーリー展開にもハマる曲に仕上げることができたと思っています。 ◆石川さんは「レゾンデートル ~ゾラージャ討滅戦~」のアレンジを担当されています。 石川:この曲は、祖堅さんが担当された「Smile」のメロディを使ってほしいというオーダーがありました。「Smile」のメロディって、トライヨラで流れる音楽と同じなんですけど、ゾラージャが生まれ育ったのが、トライヨラなんです。その意図はすごくよく分かったのですが、「Smile」を蛮神戦らしい攻撃的なサウンドにどう落とし込めばいいのかは、悩みましたね。 矢崎:「Smile」は曲名の通り、超ハッピーな曲ですもんね。 石川:そうそう。しかも、ゾラージャ自体に「Smile」な感じもないので、どうしたものかと。具体的にサウンドの話をすると、ゾラージャのキャラクター性を出したいと思って作りました。ゾラージャは力を求めるキャラクターで、そのキャラクター性を表現するために、生演奏系の音は入れず、打楽器系で力いっぱい叩くようなサウンドを入れたり、思考が少し停止したような無機質な感じの音色を入れたりしました。こういう攻撃的なサウンドを『FFXIV』で作ることがあまりなかったのですが、今回こういう機会をいただけたので、自分が考える最大火力をつぎ込みました。 ◆今村さんが担当された蛮神戦の曲は「エターナルクイーン討滅戦」。 今村:まさか僕がラスボス戦の曲を担当することになるとは(笑)。曲を作る前にこれまでのラスボス戦の曲を改めて聞いたんです。そしたら「いやいや、こんなの作れないよ!」って思っちゃって……。 ◆ラスボス戦の曲を作るのは、相当なプレッシャーがあった。 今村:もうプレッシャーしかなくて。本当にどうしようと思っていました(笑)。ただ、今回から新しい冒険の始まりになるということで、今までの曲を踏襲せずに新しい方向性で作ってほしいというオーダーがあったんです。その言葉に救われました。この曲は「遠き日の思い出 ~リビング・メモリー:開園~」のメロディを使ってほしいというリクエストがあったのですが、そこに相当な意味があると感じたんです。いつもの“ラスボス感”よりも少し切なさを入れたいと思い、意識的にピアノの音を入れるなど、試行錯誤しながら作りました。
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