全国で2番目に小さな町 奈良県三宅町長の「小さいからできる」戦略
スタートアップとアトツギベンチャーが交差し、旗を立てる挑戦者を瀬戸内から応援する新たな経済番組「Setouchi Startup Flag」(通称・セトフラ)。 瀬戸内エリア内外の起業家やアトツギをゲストに招き、瀬戸内・中四国特化型ベンチャーキャピタル「Setouchi Startups」の共同代表、藤田圭一郎と山田邦明がVC目線でゲストのビジネスストーリーを深掘りします。 今回は、奈良県三宅町の森田浩司町長をゲストにお迎えした回をご紹介。 全国で2番目に小さい町である奈良県三宅町で、3期目の町長選当選を決めた直後に出演した森田町長。三宅町がどのようにスタートアップと共にまちづくりをしているのか、その背景にはどんな思いがあるのかをお届けします。 ■人口減少が進む三宅町の生き残り戦略 森田:全国で2番目に小さい町、奈良県三宅町町長の森田です。 三宅町は、ビジョン・ミッション・バリューを掲げながらまちづくりをしていることが特徴的です。4年ほど前から「自分らしくハッピーにスモール(住もうる)タウン」という、自分らしい選択と挑戦ができるウェルビーイングの高い町を目指すビジョンを掲げています。 自分らしい選択と挑戦ができるようにするという文脈で、町にないものを自分たちで作れる町にしたいと思い、スタートアップに関する政策を打ち出しています。 例えば、地域の課題をヒアリングし、どのようなビジネスモデルで解決していくかを民間の企業と組みながら考えるビジネススクールをやっています。これは、三宅町が小さく、住民や企業の距離が近いからできる。そんな風に、小さいからできることをテーマに今は動いています。 山田:スタートアップと地元の会社との関係は上手くいっていますか? 森田:今回のスクールで言えば、その部分がすごく上手くいっていると思います。受講生のなかに、製造業の中小企業へのヒアリングを通して新規事業を生み出そうとしている方がいました。その方は、社長の頭の中にしか商品開発のノウハウがなく、社長の持っている経験値の蓄積が可視化されていないという課題を見つけました。それを見える化するツールを作ろうと新しいアプリを開発していて、地元の企業と実証実験をするなどの取り組みもあります。 藤田:基本的には、地域の企業と外からくる方が繋がるようなイメージでしょうか? 森田:あまりそのような縛りを考えているわけではありません。また、三宅町のスクールを受講したから三宅町で起業してほしいと考えているわけでもなくて。どちらかと言えば、関係人口として伸びていき、三宅が好きだと言ってくれる人が増えるような、ずっと繋がっていく関係性を作りたいんです。 それが、人口減少が進んでいく中での三宅町の生き残り戦略だと思っています。人口を増やすことは現実的に無理な中で、どうやってまちづくりをしていくか。その持続可能性を探していくための一つの取り組みとして、関係人口を増やしていきたいと思います。