全国で2番目に小さな町 奈良県三宅町長の「小さいからできる」戦略
「教えて瀬戸内VC」これからの人材育成とは?
山田:境界線はない方が良いと思っています。ですが、生活を送るための土台作りという福祉が担うべき領域でやるべきことがやられておらず、一緒に作ることが考えられない状況があるのであれば、住民からハレーションが生まれることもあると思います。 森田:それに対しては、徹底した対話が大事だと思っています。直接話をすると、分かり合える部分が結構あります。 ですが、その声を上げる一人を無視するわけではなく、この一人のために何ができるのかを考えることも行政の一つの仕事だと思います。 山田:線を引くのは簡単だけど、引かないことによってもっと多くの人を助けられるのではないかという問いにチャレンジし続けているんですね。 森田:これは小さい町だからできることだろうなとも思っています。そして、暮らしが変わって幸せに暮らせる手段が増えることは良いことだと思っているので、スタートアップや官民連携、官民共創に取り組む必要性があると思います。 ■教えて瀬戸内VC 人材育成の考え方 森田:これからの人材育成とは?という話を聞きたいです。 行政課題としても経営課題としても、人が少なくなって雇えなくなっていくなかで、今いる人たちをどう伸ばすかが大事だと思います。公務員に限定して良いかはわかりませんが、公務員のような同じことをやるのが得意な人たちが、変革していく社会でどう変わっていくべきかを考えるような育成計画が行政にはあまりありません。 人材育成について、これからどんな部分が大事になると思いますか? 山田:「パーソナル上司」だと考えています。 組織内で育成しようとすることが、基本的に間違いではないかと思っているので、外にプロ上司のような育成する組織体があるといいんじゃないかと。SNSで発信したところ、AIを使ってサービス化して出すと話している人もいたので、AIが導入される未来になるような気もしています。 藤田:「育成しない」です。育成はできないので、勝手に育ってくれる場所を外に用意してあげる。行政職員の場合も、外でチームを作ってあげることで育っていくようなイメージです。 山田:自分ごと化できないサイズの組織にいると、学ぶ機会はどんどん減ってしまいます。 自分がやったことがダイレクトに世の中の人に届く、自分の失敗が社会の失敗として返ってくる。そんなサイズ感のチームで動くことで、オーナーシップやリーダーシップが芽生えると思っています。行政機関のような大きい組織ではそうなりにくいので、外で活動することを推奨するような土壌や、環境づくりが育成になるのではないでしょうか。 人口が減っていくという変えられない現実に、行政としてどう向き合っていくのか。奈良県三宅町には、スタートアップや人材への支援を通して、地場産業や地域が抱える課題の解決を目指す姿があった。地域を牽引していく一方で、まちづくりの担い手は行政ではなく、住民であると伝えていきたいという。小さい町だからこそできる試行錯誤は、他の多くの地域の先進事例になるだろう。
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