外交力強化を狙う「ODA」今どうなっているの?
7月10日から12日にかけて、安倍首相はパプアニューギニアを訪問し、今後3年間で200億円規模のODA(Official Development Assistance/政府開発援助)供与を表明しました。日本のODAは、戦後、アメリカの国務長官であったアレン・ダレスの主導により、日本からアジア諸国へ賠償を行うのに、金銭に替えていわば労働で埋め合わせをするために始められました。占領国であるアメリカの負担を軽減させつつ、日本の復興を促進させるのがねらいでしたが、日本が経済発展をとげるにつれて貢献度も拡大し、国際社会での外交力強化に役立っています。 人道的支援と外交手段の両面を併せ持つODAについて、ここで整理してみましょう。
有償資金協力・無償資金協力・技術協力の3本柱
ODAは開発途上国の経済発展や貧困削減などを目的とします。国連などの国際機関を通じる多国間援助と二国間援助に大別され、日本の場合、多国間援助が約40%、二国間援助が約60%となっています。 二国間援助は、有償資金協力、無償資金協力、技術協力の3本柱から成り立っています。 有償資金協力は低金利かつ返済期間の長い(通常10年)、緩やかな条件で開発資金を貸し付けるものです。円建てで行うため、円借款とも呼ばれ、おもに道路、空港、発電所など大型のインフラ整備に利用されます。無償資金協力は、おもに学校や病院、およびそこで使用する資材を提供するものです。道路や港湾などが対象となることもあります。技術協力は専門技術者を相手国に派遣したり、相手国の人を日本に招いて研修を受けてもらったりするものです。海外青年協力隊がよく知られています。
ODA拠出国の1位はベトナム
現在、ODA拠出国の1位はベトナムとなっており、国土を南北に結ぶ高速道路や港湾、火力発電所の建設などにあてられています。2位のアフガニスタンでは道路建設や給水・灌漑施設の整備、識字教育などが、3位のインドではユニセフと連携してポリオの撲滅計画などが進められています(2012年度)。 そのほかソマリアなどでの海賊対策、アジアを中心とした感染症対策、人材育成、法整備、環境対策なども重要な課題となっています。また、インドネシアやフィリピンに巡視船を供与することで中国の動きを牽制するといったことも行われており、自衛隊という限定された軍事力しか持たない日本にとって、重要な外交手段となっています。