横浜流星 大先輩の金言胸に“蔦重”を生ききる!異色物語挑戦は「自分の使命」 NHK大河「べらぼう-」
俳優の横浜流星(28)が主演するNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(総合、日曜、後8・00)が5日に幕を開ける。主人公は、のちに写楽、歌麿、北斎らを世に送り出し、江戸のメディア王と呼ばれた“蔦重(つたじゅう)”こと蔦屋重三郎。大河初の江戸中期を舞台に“商いの戦い”が描かれる。共演する渡辺謙、映画で蔦重を演じた阿部寛からの金言を胸に、異色の大河を駆け抜けていく。 【写真】「べらぼう」で新たな一面を見せる横浜流星 色街・吉原で生まれた貧しい庶民の子が、出版業界に革新を起こし、成り上がっていく、江戸の“ビジネス大河”だ。大きな合戦のなかった1700年代後半が描かれるのは大河初。NHKドラマ初出演となる横浜は「『なぜ(自分にオファーが)?』と今でも思ってます」と笑いつつ、異色の物語をこう分析する。 「スケール感はあるんですけど、いい意味で大河ドラマらしくないんです。派手な戦はないけれど商いの戦で、展開も速いビジネスストーリー。なんとなく大河ドラマには堅いイメージがあったんですが、それが一切ない。これまでのファンの方はもちろん、そうじゃない方に楽しんでいただくのも自分の使命だと思っています」 15話までが「一章」と呼ばれる青年期。無鉄砲でエネルギッシュな若き蔦重が、吉原で権力をむさぼる女郎買い「忘八」の面々と対峙(たいじ)し、平賀源内ら歴史人と出会い、成長していく。 広く知られる人物ではない。役作りでは蔦重の生まれた浅草を訪れ、資料を読み、専門家の助言を受け、映画「HOKUSAI」で蔦重を演じた阿部寛に話を聞いた。 「阿部さんは『流星らしく世に広めてくれ』と一言。その言葉にいろんな思いが詰まっていると思うので、汲み取って。阿部さんが生きた蔦重は後の方(晩年)なので、そこは脚本もまだ。脚本を読んで、落とし込んでいけたらと思います」 ドラマ「DCU」で共演してから親交があり、短い言葉に込められたバトンを受け取った。 蔦重に影響を与える幕府の権力者・田沼意次役の渡辺謙とは、本作の前に撮影された映画「国宝」で親子役を演じた。87年の「独眼竜政宗」と93年の「炎立つ」に主演し、本作で6度目の出演となる大河の大先輩。食事の場で、長丁場の大作を乗り越える秘訣(ひけつ)を聞いた。 「『ちょうど流星と同じ年に僕もやった。とにかく、真っすぐ、全力でやればいい』と力強い言葉をいただきました。それを信じて。あまり共演シーンはないんですけど、その時間は大切にしています」 俳優としての原点は「烈車戦隊トッキュウジャー」(14~15年放送)のトッキュウ4号役。あれから10年の節目に、当時の変身カラーだった緑の着物姿で江戸を駆ける。 「1年間は贅沢ですよね。戦隊ものを1年半くらいやって、そこで芝居の楽しさを知り、役者としてやっていこうと思いました。10年たって同じようなことができるので運命を感じています」 今年の抱負を聞くと、漢字一文字で「生」と答えた。「しっかりと蔦屋重三郎を生ききる。大河ドラマに捧げる1年になると思うので、生ききってその先に何があるのか。それは自分でも楽しみです」。べらぼうに役と生きる1年が始まる。 ◆横浜流星(よこはま・りゅうせい)1996年9月16日生まれ。神奈川県出身。主な作品はドラマ「初めて恋をした日に読む話」「DCU」、映画「春に散る」「正体」など。今年には映画「国宝」の公開が待機。極真空手初段で、2011年の国際青少年空手道選手権大会13・14歳男子55キロの部で優勝、世界一となっている。