ヘッジファンドのベーシス取引、FSBが調査検討-影の銀行リスク警戒
(ブルームバーグ): 米国債の現物と先物との価格差を利用し、利益を得る「ベーシス取引」について、主要国・地域の中央銀行や金融監督当局で構成する金融安定理事会(FSB)が徹底した調査を検討している。
世界有数の一部ヘッジファンド運営会社によるベーシス取引への投資が、1兆1500億ドル(約175兆円)と記録的規模に膨らむ状況が背景にある。
事情に詳しい関係者3人によれば、広がりを見せる「影の銀行システム」に関するデータ収集に向け、昨年開始した巨大プロジェクトが困難に直面したことで、FSBはベーシス取引を含む少数の優先分野に重点を置く方針転換を協議しているという。
イニシアチブに関与する複数の関係者によると、世界各国・地域の規制・監督当局が既にどのようなデータを保有し、管轄区域を越えてどのようなデータを共有できるか、どのような情報をさらに収集可能かの把握を含め、これまでの作業は困難が伴った。
誇張されたバリュエーション(評価)、高レバレッジ、ガバナンスの不備を当局が不安視するプライベート資産も主要な懸念事項であり、より集中的な取り組みが必要と想定される分野だと関係者は述べた。
FSBに加わる証券監督者国際機構(IOSCO)のタジンダー・シン事務局長代行は「実現不可能なことはできない。われわれが必要としているのは、本当に探すべき分野だ。プライベートファイナンスがその一つに違いない」と認識を示した。高まるリスクに対し、プライベート市場が過度に無関心な現状にIOSCOは昨年警告を発していた。
ノンバンク金融機関が今や金融資産の約半分を保有する状況で、各国の規制・監督当局も情報収集に努めている。イングランド銀行(英中央銀行)は、広範な金融システムに仮想ショックが与える影響をマッピングする「システム全体に及ぶ予備的シナリオ」の結果を近く公表する予定だ。
原題:Hedge Fund Basis Trade Faces Scrutiny as Regulators Mull Probe(抜粋)
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Laura Noonan