「俺は石巻最初で最後のラッパー」地方ミュージシャンの願いとジレンマ
音楽活動の復活が恩返し
震災が起きた。幸いメンバー5人は無事だった。低音ビートを響かせるのに欠かせないサウンドシステム(音響設備)も難を逃れた。全国の音楽仲間から石巻に届く物資の窓口役になり、音楽を流しながら炊き出しもした。 開店計画は、そんな中でまとまった。「もともと活動していたライブハウスはなくなっちゃった。それなら自分が店やるわ、と。音楽活動を復活して、楽しみながら音遊びをするということが、震災で世話になった人たちへの恩返しになると思った」 震災の後に曲を書いた。「REAL」という曲だ。 俺らの町が消えた日/町から笑顔が消えた日/瓦礫の中に灯す火/俺らが見てきたあの日 … 勇気を持った奴が集う/全国から気持ちが届く/世界から応援届く/そんな気持ち皆に届ける/俺らが勇気もらう 熊本にはゴールデンウイークに足を運んだ。地震翌日から連絡を取っていたレゲエクルーに物資を手渡した。かつて石巻が受け取った支援。その恩返しになればと思った。 (この記事はジャーナリストキャンプ2016石巻の作品です。執筆:森廣陽子)
森廣陽子