2018年株式展望「前半強気、後半は警戒」 高値は2万5000円視野に
企業収益の拡大つづく
17年11月に景気拡大局面は58カ月に達し、戦後、2番目となる「いざなぎ景気」(65年11月~70年7月)の57カ月間を超えた。設備投資の拡大や、政府が呼びかける18年春闘での「3%賃上げ」が現実化するようだと、古くから「ジャンボ機の後輪」として景気浮揚局面では一番、最後に離陸すると言われて来た消費を喚起し、戦後最長の「いざなみ景気」の拡張期間(02年1月~08年2月)の73カ月を目指す可能性が今年はエコノミストの間で取り沙汰されるだろう。 企業収益は絶好調だ。それを如実に示したのが、17年10月下旬から11月半ばにかけて発表された上場企業の今3月期第2四半期累計(4月ー9月)決算で、トヨタ自動車(7203)、日立(6501)、ソニー(6758)など製造業を中心に、期初見通しを上回る会社が続出。金融を除くベースでは、本業の儲けを表す上場企業の4~9月の連携営業利益の伸び率は14%台となり、絶対額も史上最高に達した。株価は、こうした動きに連動する格好で、11月中旬にかけ勢いを強めたのである。
株価に割高感なし
それと密接に関連する、18年の前半相場が上昇トレンドを持続する、と見るもう一つの理由は、株価に いっこうに買われすぎのシグナルが点灯しない、という事実だ。 それを端的に示しているのが、株価を予想一株当たり利益で割っていられる予想PER(株価収益率)の水準である。 日経平均に採用されている225銘柄の平均予想PERは直近12月25日時点で15.18倍。過去3年間ほど、この予想PERは12倍台~18倍台の範囲で推移してきた(グラフ参照)。
アベノミクス相場がスタートした2012年11月半ばから、5年余りが経過したが、この間、予想PERが最も高かったのは13年4月12日に記録した23.38倍。当日の日経均は1万3400円台だった。そこから株価が大幅に上昇しているのに、収益の大幅な伸びによって割高感が生じないばかりか、むしろ経験的な割安ゾーン内にある。 黒田日銀総裁が金融政策決定会合後に行われた21日の記者会見で株価について「現時点で金融的な行き過ぎやバブルが起こっている状況はない」と語った。実際、株式マーケットでは通常、15倍前後の予想PERは、株価にとって熱くもなく、寒くもない「適温」(=正常)状態と見られることが多い。 ちなみに、日経平均が3万8915円という史上最高値を付けた89年末の局面では、この予想PRRが60倍を超えていた。だからこそ、のちに実態から大きく遊離したバブル、ないしはユーフォリア(陶酔的熱狂)と喧伝されたわけだ。