オバマ大統領が広島訪問 「核なき世界」の実現にはどれくらい時間が必要か
THE PAGE
伊勢志摩サミット終了後の27日夕方、アメリカのオバマ大統領が広島市の平和記念公園を訪れた。原爆投下から約71年。現職の米大統領による被爆地訪問や献花は間違いなく歴史的な瞬間であったが、オバマ大統領が就任当初から取り組んできた世界規模の核軍縮や核不拡散は紆余曲折したままだ。アメリカ国内の核兵器保有に関する世論の変化や、オバマ政権の核軍縮の実情についてリポートする。(ジャーナリスト・仲野博文)
100か所以上で検問「厳戒態勢」の広島市内
アメリカのオバマ大統領が平和記念公園を訪れるため、27日の広島市内は朝から市内各所に多くの警察官が配置され、平和記念公園周辺では100か所以上で検問も行われた。「これまでにも広島を訪れた外国の政治家はたくさんいましたが、こんなに凄い警備を目の当たりにしたのは初めてです」、と苦笑しながら語るのは市内のタクシー運転手の男性。27日正午過ぎのことだ。市内ではパトロールなどを行う警察官の姿が随所で確認でき、制服から兵庫県警や熊本県警から派遣されてきたこともわかる。広島県警は11の都府県から約2000人の応援を得る形で、約4600人の警察官を動員して、オバマ大統領の到着に備えた。 27日正午までは平和記念公園への入場に規制がかけられなかったため、多くの人が平和記念公園を訪れていた。海外からの観光客や、海外メディアの関係者も少なくない。オバマ大統領を一目見ようと平和記念公園を訪れたというアメリカ人男性に話を聞いた。 「とてつもなく悲劇的なことですね。個人的には開発した原子爆弾が本当に使えるのかを確認するための実験的な意味合いもあったのではないかと思いますが、人それぞれで見方は異なると思います。どのような理由であれ、原爆の使用は人道に対する犯罪だったと思います」 アメリカでは今でも原爆使用は戦争を終結させて多くのアメリカ人兵士の命を救うために必要だったという考えが根強く残っている。同時に「抑止力としての核兵器保有」を正当化する声もまだまだ根強い。しかし、核に対する考えでは世代間ギャップも生じているようだ。