昭和産業、オレイン酸の含有量が高い「オレインリッチ」をブレンドしたオリーブ油上市/【役員に聞く】山口龍也取締役常務執行役員
〈油種ポートフォリオ拡大で業務用2品を開発、こめ油とコーン油とのブレンド油〉
――今年度の施策について ユーザーから要望があり、今まで温めていたものの中から業務用の新商品を2品上市する。一つは、炊飯ベンダーや冷食メーカー向けに、炊飯時に添加することで、低温度帯の流通でもご飯の味、風味を落とさず、おいしさを保てる炊飯油「こめコート」だ。低温流通の中で、米が老化したり、バサついたりする悩みを抱えられていたお客様に最適で、スーパーマーケット・トレードショーでも好評だった。 もう一つは、量販店のバックヤードや外食店向けに、フライ製品のおいしさを向上させつつ、フライヤー周りの油汚れがつきにくいため掃除がしやすいフライ油「キャノーラCK-UP」だ。コロナ以降、量販店や外食店は人手不足に悩んでおり、人手をかけずに品質の高いフライ製品を提供したいという要望を具現化した。 「こめコート」はこめ油、「キャノーラCK-UP」はコーン油とのブレンド油だ。この数年間、ボーソー油脂の子会社化、辻製油との資本業務提携により、油種のポートフォリオを大きく広げた部分を具体的に製品に落とし込み、製品開発につながっている。両商品とも今年度の上期中に上市する予定だ。 ――パナマ運河の水位低下の影響について コスト面では海上運賃の上昇が発生している。品質面でのリスクもやはり懸念されている。喜望峰ルートは赤道を2回通り、外気温の上下動による品質劣化の懸念がある。現時点では、当社に向けての大豆本船の品質劣化の事例はないが、今後も注視していく必要がある。 まだ先にはなるが、パナマ運河の水位が回復し、通常通り通峡可能になった時の出口戦略も検討する必要がある。現在は航路延長ベースで原材料調達を計画しているが、急に通峡可能となって本船到着が早まると、受け入れサイドとしてはサイロのスペース不足が想定される。当社もサイロ業を行っているのでその点は懸念している。 〈大豆油糧日報2024年5月1日付〉
大豆油糧日報