久保建英は初戦不出場 ヨーロッパリーグに全力投球できないそれぞれのクラブ事情
【ヨーロッパリーグにかけるクラブも】 CLだけでなく、ELも負担は重い。ELに出場した2014-15シーズン、ラ・レアルは1部で12位と不振を極めた。その次に出場した2017-18シーズンも12位だった。 「ヨーロッパカップ戦は毒にもなる」 欧州では、そう言われて久しい。今回の方式のように試合数が大きく増えたことで、毒は量を増した格好だ。 「なんで久保を出さない?」 ニース戦の起用法に、日本のファンは怒るかもしれない。しかし、ラ・レアルのようなクラブは、ビッグクラブのような選手層の分厚さは望めない。選手という有限なエネルギーをうまく使うことが求められる。コンディションが良好ではない選手を使って大ケガでもさせたら、それこそ批判を浴びるだろう。 ラ・レアルは、ラ・リーガで現在16位と低迷している。チームは窮地にあって、久保の力が必要になる。ラ・リーガとELを天秤にかけた場合、前者のほうが重要なのだ。 その優先順位は、マンチェスター・ユナイテッドのようなビッグクラブも、少し違う理由ではあるが、同じだろう。マンUの伝統や歴史を考えたら、ELで優勝してもファンを満足させることはできない。プレミアリーグでCL出場権を確保することのほうがプライオリティは高いし、CLで競ってこそのビッグクラブなのだ。 このあたりにELという大会の"難しさ"はある。CLほどの興行的な利益は見込めないにもかかわらず、中堅規模のクラブにとっては消耗のリスクがある。また、ビッグクラブにとっては、過酷な割にリターンが少ない。過去最多7回のEL優勝を誇るセビージャ(2番目がインテル、リバプール、ユベントス、アトレティコ・マドリードの3回だが、アトレティコ以外はほとんどが前身のUEFAカップ時代)は、"着地点"を見つけるのが神業的にうまかったクラブと言えるかもしれない。 一方、それぞれの事情でELにかけるチームもある。今シーズンは、ラ・レアルの本拠地の隣町にあるアスレティック・ビルバオが本気で挑むことになるだろう。なぜなら、今シーズンのEL決勝が、彼らのホームスタジアムであるサン・マメスで行なわれるからだ。