「恐る恐る見たら左腕がぶら下がっていて…」緊急搬送の大怪我から9カ月…ロッテ・本前郁也が歩む復活の道と「勇姿を見せたい」あの人への思い
「焦らずやれよ」和田からの激励
「すぐに連絡いただきました。手術の前に『無理をするな。焦らずやれよ』と。その後も、なにかあるたびに連絡をさせてもらいました。いつも励ましてくれた。『投げられない気持ちはわかる。周りはいっぱい投げているけど、焦らないように』と言ってくれた。和田さんは本当に優しい。すごく心配をしてもらいました」と本前。尊敬する大先輩の左腕へ、感謝の思いは尽きない。 和田の自主トレにはプロ1年目を終えたオフに関係者を通じてコンタクトをとり、弟子入りを志願した。縁もゆかりもない大投手。しかも本前は当時、育成契約選手。断られることも覚悟していた。
飛び込みの弟子入り志願に…
「なにも知らない状態でお願いをしました。絶対に他球団の育成のボクなんて知らないはずなのに、二つ返事で『いいよ』と受け入れてくれて。ものすごく親切にこうした方がいいよとかアドバイスをいただきました。野球以外の息抜きも大事だぞと色々なところに観光に行ったりゴルフもやったりとか」 自主トレを初めて行った後の21年のシーズンでは支配下選手登録を勝ち取りプロ初勝利を記録した。 そんな師匠との“別れ”は突然、訪れた。 なにげなくLINEを見ると自主トレのグループメンバー宛に和田から1通のメッセージが届いていた。
和田が長文に綴った想い
「引退します」。その後に、長文で引退を決めた想いがつづられていた。 「えっ! と思った。どうしようかと。プロ入りしてずっとお世話になった。ありがとうございました。お疲れ様でしたの言葉しかとっさには思いつかなかったけど、本当にいつもボクの怪我の事を心配してくれた。元気になった姿を見せられたらと思う」 現在は左腕も順調に回復し、来年2月のキャンプ期間中の投球練習再開を視野に入れている。
“弟子”たちが日本シリーズで躍動
「とても順調なので、もうちょっと早くいけるかもしれないです。あとは病院の先生がOKしてくれたら」と本前の表情は明るい。それは左腕に確かな感覚があるからだ。 「投げていないからですけど、左肩の可動域が人生で一番いい状態。これは凄い球が投げられるかもしれないと思えている」と笑う。 今年は和田の下で長崎自主トレを行ったメンバーからホークス前田純投手、松本晴投手などがプロ初勝利を挙げ日本シリーズにも登板した。テレビで見た本前はあらためてエネルギーが湧き上がってきたという。
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