「恐る恐る見たら左腕がぶら下がっていて…」緊急搬送の大怪我から9カ月…ロッテ・本前郁也が歩む復活の道と「勇姿を見せたい」あの人への思い
「皮膚の感覚すらない」壮絶なリハビリ
1カ月くらいは私生活にも影響があった。運転はもちろんできない。歯も利き腕では磨けない。シャワーを浴びるのにも一苦労だった。食事も利き腕ではない右手で必死に行った。苦労したのは書類を書く際。名前、住所を利き腕と反対の右手で書くのはなかなか時間がかかった。「器用になりましたよ」。心配する周囲に、あえて笑って応えてみせた。 「左腕に関しては皮膚の皮の感覚すらない感じ」 本前は当時をそう振り返る。ただ、しっかりと前を向いた。
かつては打球直撃で頭蓋骨骨折
北翔大学4年時には社会人チームとの練習試合で打球が頭を直撃し頭蓋骨骨折。そのまま救急車で病院の集中治療室に運ばれたことがあった。 「今回のことはもちろん大変なことではあったのですが、あれに比べると怖さはなかった。プロに入る前に頭に打球が当たって集中治療室に運ばれた。意識もほとんどなくて、それ以上のことはないと思っている。一時は記憶力も落ちて、しゃべることができなかったくらい。あそこから復帰して病室でプロ志望届を書いてこうやってプロの世界に入れて、今がある。それに比べると怖くはない。思い切り腕を振って投げる事に関してもボクには怖いという感覚はない」
次々に届いたメッセージ
沢山の人に励まされた。ファンからもSNSに沢山のメッセージが届いた。同様の骨折の経験のあるお笑い芸人「NONSTYLE」石田明さんからも励ましの言葉をもらい、お笑いライブにも招待してもらった。 ドラゴンズの岡田俊哉投手も下半身だが同様の骨折の経験者。エールをくれた。ありがたかった。そして毎年1月に長崎で一緒に自主トレを行うホークスの和田毅投手も親身になって心配してくれた。ショッキングなニュースを目にした時のことを和田は「1月の自主トレで、本前はすごく状態が良かった。凄い球を投げていた。今年は凄いぞと楽しみにしていた矢先だった。本人はものすごく悔しかっただろうし、辛かったと思う」と振り返り、本前を気遣った。
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