佐々木麟太郎、米衝撃デビュー弾!! 適時打も含めて3打点 スミス監督「エネルギーに満ちていた」/MLBドラフトリーグ
【フレデリック(米メリーランド州)11日(日本時間12日)=山田結軌】岩手・花巻東高で歴代最多とされる高校通算140本塁打を放ち、世界屈指の名門校、米スタンフォード大に進学した佐々木麟太郎内野手(19)が、MLBドラフトリーグのトレントン・サンダーの一員として米国で公式戦初出場した。フレデリック・キーズ戦に「4番・一塁」で出場し、1号2ランを含む5打数2安打3打点と鮮烈デビューを飾った。チームは11-1で開幕戦を大勝した。 まだ明るさの残る空に高く上がった打球は、大きく放物線を描いてフェンスの向こう側に消えた。佐々木が米デビュー戦で初アーチをかけた。1-1の三回2死二塁でフルスイング。打球角度は41度で〝上がり過ぎ〟だったが、飛距離は107メートルで右中間フェンスを越えた。 「エネルギーに満ちていた。純粋に試合を楽しんでいた。とても謙虚でありながら、豪快なスイングができる。見ているこちらも楽しかった」 取材対応がなかった佐々木に代わり、米独立リーグなどで選手経験のあるアドニス・スミス監督が衝撃の一発を振り返った。米国では9月からが新年度。入学前とあってスタンフォード大とMLBドラフトリーグの配慮から、佐々木の会見はセッティングされなかった。異国の地で新たな環境に慣れ、生活が安定するまではメディア対応は控え、野球や英語の習得に集中するための措置だ。 1号2ランを放って三塁側ダッグアウトに戻ると、チームメートはまさかの完全無視。米国流の儀式「サイレント・トリートメント」の祝福だった。米大リーグ、ドジャースの大谷翔平投手(29)がエンゼルス時代、メジャー1年目の初本塁打時にも受けた米球界の洗礼。それでも佐々木がハイタッチを求めて両手を挙げ続けると、すぐに歓喜の輪ができた。 4―1の六回2死一、二塁では右前適時打で3打点目を挙げた。MLBドラフトリーグは2021年に新設され、プロ志望の大学生を中心に構成される。佐々木は26年7月のMLBドラフト、27年秋のNPBドラフトでの指名を見据える。米国の大学生は反発係数が定められた金属バットを使用するが、同リーグ出場選手は木製バットで臨む。持ち前のパワーを発揮し、試合前のフリー打撃では28スイングで2本の柵越えを放った。 「彼はものすごく謙虚。そしてここでプレーできることをとても喜んでいる」とスミス監督。今後は一塁だけではなく、三塁や外野にも挑戦する予定だ。この日はメジャーの舞台で花巻東高OBの菊池(ブルージェイズ)が4勝目を挙げ、大谷が16号本塁打をかっ飛ばした。偉大な先輩たちの背中を追いかけるように麟太郎が、米国での第一歩を踏み出した。