「国庫は空っぽ」シリア暫定政権、多難の船出 米政府に制裁解除を求める意向
シリアのアサド政権を打倒した反政府勢力によって暫定首相に任命されたムハンマド・バシル氏は、数百万人のシリア難民を帰還させ、基本的な住民サービスの再開を目指す一方、国庫にはほとんど無価値のシリア・ポンドしか残っていないと述べた。 11日、首都ダマスカスのパン屋には長い行列ができていた。これはシリアが抱える深刻な経済問題の一端を示している。 バシル暫定首相は、数百万人のシリア難民を帰還させ、基本的な住民サービスを提供したいとしているが、外貨がなければ困難になるだろうと述べた。バシル氏は、反政府勢力が12日間の攻撃でアサド政権を倒す以前は、反政府勢力が支配する北西部で政権を運営していた。 ダマスカスでは銀行や商店が再開し、武装した人の姿も減っている。しかし何十万人もの命を奪った内戦からの復興は、険しい道のりになるだろう。 ダマスカスで事業を営む人はこう話す。「我々が直面する問題は、通貨だ。イドリブ地域やアレッポからここに来た人たちの中には、トルコリラやドルしか持っていない人もいる。私たちはそれをどうやって両替したらいいのかわからないので、ビジネスを妨げる要因になっている」 アサド政権に対する国際的な制裁も、経済が崩壊した要因の1つだ。アサド政権の崩壊を受けて、米国の上院議員2人が米政府に対し、シリア制裁の一部の停止を求める書簡を送った。最も厳しい制裁の1つは今月更新される予定で、暫定政府は制裁緩和について米政府に連絡を取っているとロイターに明かした。 またダマスカス商工会議所のトップは、新政府が経済関係者に対し、従来の統制経済をやめて今後は自由市場モデルを採用し、国際金融システムとの統合を目指す意向を示したと語った。