BABYMETALが主催する「FOX_FEST」。世界のどこにもない新たなメタルフェスをレポ!
インストバンドPOLYPHIAが残したインパクトも相当なものだった。あらゆる技巧を尽くした演奏はもちろん素晴らしかったのだが、演奏技術だけに頼らず、MCで観客をあおりまくるのがよかった。ギタリストScott LePageは、「みんなの内にあるエネルギーを世界に向けて放出しろ! みんなの安全を守るセキュリティもこれだけいるからクラウドサーフしてこい!」とフロアへ呼びかけ、クラウドサーファーが10人に達したところで「Goose」を演奏しはじめた。その後、彼が発した「曲がはじまってもサーフを続けろ! これがPOLYPHIAのショーだ!」のひと言には演奏と同様にしびれた。 「Champagne」では「リフを歌うゲームをしよう!」とギターリフとのコールアンドレスポンスを繰り広げるなど、とにかく盛り上げ方がうまい。ひたすら五十音を言い続ける「ABC」のように日本人にとってかなりインパクトのある楽曲もあったのだが、インストバンドのイメージを覆すような熱量やTim Hensonの美貌など、見どころの多さにただただ圧倒された。POLYPHIAのライブがすごいという話は事前に聞かされていたが、実際に観て納得した。なるほど、これは本当にすごい。 そして、BABYMETALの登場前にフロアの興奮をかっさらったのはELECTRIC CALLBOYだった。実は、彼らとBABYMETALは2015年にドイツ・ミュンヘンで開催されたフェス「ROCKAVARIA」でニアミスしている。BABYMETALは初日のセカンドステージに出演、ELECTRIC CALLBOYは3日目のサードステージのトリを飾っていて、自分はこのときに両者のライブを観ている。ELECTRIC CALLBOYはなんだかよくわかんないけどとにかく活きがいいという印象で、実際かなり盛り上がっていた。あれから10年近い時を経て日本で体験した彼らのパフォーマンスは極上のエンタメの域に達していた。 ライブ冒頭の映像では女性添乗員が現れ、「大人しく立っていることは厳しく禁止されてます」などの注意事項を伝えたあと、「ELECTRIC CALLBOYがステージに登場します」「テクノの時間です」とアナウンスし、6人のメンバーが登場。ここから最後まで数々のライブを経て完成されたフォーマットで駆け抜けていくのだが、頻繁な衣装チェンジ(かつら含む)を含み、まったくスキがない。それでいながらしっかり曲紹介はするし、ウォールオブデスもあおる。さらに、ドイツらしいエレクトロビートを効かせたサウンドはとにかくキャッチーで、特に「Hypa Hypa」のイントロはこの日最も観客の耳にこびりついた1節だったはず。