【実録】「退職して逃げたら人生終わりだ!」なぜ人は「ブラック企業」から抜け出せないのか? 8年間の勤務経験をもとに筆者が解説
毎日3、4時間の残業、休日出勤は当たり前……そんな会社に勤めている人はいませんか。その会社は、法律に違反しながら労働者を酷使する、いわゆる「ブラック企業」です。 そんな会社は「辞めて抜け出せばいい」と思えますが、多くの人がブラック企業からなかなか抜け出せないのが実情です。筆者も経験者なので、よくわかります。 この記事では、筆者の経験をもとに、ブラック企業から抜け出せない理由を解説し、抜け出すにはどうしたらいいかを教えます。
そもそもブラック企業とは
「ブラック企業」に明確な定義はありませんが、厚生労働省によると、一般的な特徴として次のようなものがあります。 ●労働者に極端な長時間労働やノルマを課す ●残業代を支払わない ●ハラスメントが横行する 筆者もブラック企業に勤務した経験があり、平均的に月150時間以上の残業や休日出勤を8年間続けました。残業代も休日出勤の手当などもなく、友人との交流も制限された生活でしたが、実はブラック企業だったと気づいたのは退職後、友人に前職について話したときでした。当時は、どこの会社もこんなものだと思っていたのです。 ブラック企業とわかっていながら抜け出せない理由は大きく分けて、生活不安や自信のなさなど労働者側の要因と、退職届が受理されないなど会社側の要因があります。
労働者側の要因
ブラック企業をやめられない理由の多くは、労働者側の要因によるものです。もちろん労働者側の要因とはいっても、そもそもは会社や上司によってつくられた現状なので労働者が悪いというものではありません。 ●転職活動が不安 ●生活が困窮する ●同僚や関係者に迷惑がかかる ●退職は逃げるようで自分を許せない ●転職を考える時間や余裕がない ●労働環境は良くないが、仕事自体は好き ●家族やパートナーが許してくれない 日本労働調査組合が2021年に実施した「ブラック企業に関するアンケート調査」でも、辞められない理由のうち転職活動への不安が41.7%、生活が困窮するとの理由が38.9%をとなっています。 筆者もまさに調査結果のとおり、転職活動への不安と生活が困窮するとの恐れから、ブラック企業を辞められない状態が続きました。みなし残業代として40時間まで支給されていましたが、残業時間は軽く150時間を超えており、1ヶ月の休日は2日あれば良いほうでした。 しかしこれらは「業務時間内でやるべきことを、上司にお願いして業務時間外や休日にさせてもらう」とのスタンスだったため無給でした。 そのため手取りの給料は名古屋市内での一人暮らしにはつらい13万円程度。働き続けても深夜のコンビニ代や終電に間に合わなかったタクシー代がかさむばかりで、転職活動する時間も心の余裕もありませんでした。 さらにはタイムカードを時間までに押し忘れたり、インフルエンザなどで休んだりしたら罰金1万円を徴収され、貯蓄どころか生活のための借金をしていた時期もありました。