今さら財布を一緒にしておこづかい制にするのはあり得ない…50歳で結婚した私が〈夫婦別財布〉〈別居婚〉にこだわったワケ
マンガ家の影木栄貴(えいき・えいき)さんが50歳にして結婚するまでの道のりを赤裸々に綴った初のエッセイ本『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』(KADOKAWA)が5月に発売されました。1987年から1989年に内閣総理大臣を務めた故・竹下登さんの孫、ミュージシャンでタレントのDAIGOさんの姉で、最近は北川景子さんの義姉という肩書き(?)も加わった影木さん。夫婦の財布は別で別居婚を選択したという影木さんの結婚生活について、同書から一部抜粋してお届けします。
財布は分けるべき
婚活を始める以前、一生一人で生きていく可能性が高いと思っていた私は、しっかりと老後資金のことを見据えて動いていました。小規模共済(フリーランスの退職金積み立て)に入ったり、株式投資を始めたり、金(きん)を買ったり、終身保険に入ったり。 最近は積み立てNISAも始めました。あれはいいものだ。あと物を買うときに、売るときに高く売れるか、ということも視野に入れ始めました。実家に戻ってからは、家賃がかからない分、貯金もできています(あ、もちろん毎月家にお金は入れてますよ)。 仕事は、漫画家本来の形から原作者やアドバイザーに形態を変えたので、アシスタント代もあまりかからなくなりました。 その結果、収入は減ったけど手取りは増えている、という状況になりました。前は仕事場家賃とアシスタント代の経費がすごくて、手元にあまり残らなかったので、貯金額も増えていって、投資も成功している今、資産形成は順調です。まあそもそも社会人時代から、かれこれ30年は働いてるわけだしね。ある程度は持ってるよね。
伝えたくない・知りたくない、互いのお金事情
しかし、私は夫になる人にはその金額や年収を言いたくありませんでした。女性がある程度以上の金額を所持していることを知ると、「俺、働かなくていいんじゃない?」と考える男性は少なからず存在します。ニートになったり、ヒモになったりする漫画やエッセイをたくさん読んできました。 わりと最近のドラマで、夫が妻の資産をすべて別口座に移してしまうシーンがありましたが、最悪、私を殺して全財産を奪おうなんていう男性も現れるかもしれません。そういう危険から身を守るためには、はじめから相手に資産を伝えないことが一番だと考えました。 また、世間では経理の人やマネージャーが横領してしまう事件も起こります。どんなにいい人でも、お金を見ると魔がさしてしまうことがあるのが人間です。お金がないとき、お金が必要なときならなおさら。それなら、そういうことが起こり得る状況を作らないほうがいい。なので、私は漫画家になってからのお金はずっと自分で管理して、誰かに任せたことは一度もありません。両親にもです。 一方で、私は夫になる人の資産も知りたくありませんでした。仮に夫が私より多く持っていたとしたら、私は「じゃあワイは働かなくていいや」と思ってしまうかもしれない。甘えが出て、仕事を真面目にできなくなったり、今までのように頑張れなくなったりするのが嫌なんです。 もしくは、仮に夫の資産が私よりかなり少なかった場合、何かの折に「ワイのほうが稼いでるんだからね!」というお約束の超NGワードを言ってしまったり、「ワイがお金を出しているんだから、そっちがワイに合わせるのは当然やん?」なんて口走ったりするかもしれない。いや、言うつもりはないけど、人間カッとしちゃうときもあるし。 お金の問題は、夫婦関係に亀裂が入るきっかけに十分なり得ると思ったのです。知らないままが一番平和。お互い、相手がどれぐらい持っているのか、稼いでいるのか知らない。必要なときに出し合う。それでいいじゃない。