小学校の一室から始まった福知山市立図書館、開設100年で蔵書は250倍 「居心地が良く、探したいものが見つかる」施設に
旧3町図書館・室は合併後分館に
2006年(平成18年)には、福知山市、三和町、夜久野町、大江町の合併により、名称を現行の「市立図書館中央館」と改め、日新を含めて三和、夜久野、大江の各図書館・室を分館とした。日新分館はのちに日新地域公民館図書室に所管替えしている。 14年6月、中央館を駅前町の市民交流プラザ1、2階に移転。旧館に比べて面積は3倍の広さとなり、乳幼児に読み聞かせができる「おはなしのへや」や、若年層向けの「ティーンズコーナー」を作り、北近畿唯一の自動化書庫を整備。三たん地域16市町在住者も利用できるようになった。4年後の18年6月には移転後の来館者数が100万人を突破した。 19年(令和元年)6月には、福知山ゆかりの戦国武将・明智光秀が主役のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」が20年に放送されるのを受け、貴重な史料などを並べる「明智光秀コレクション」を公開。現在の総数は700冊を超える。 新型コロナウイルス禍で図書館に行かなくても、読書を楽しめる環境整備が加速。22年1月には、「ふくちやま電子図書館」を開始。東京都の会社が提供するシステムを利用する300館ほどのなかで、1千人あたりの人口比の貸出数と閲覧数で全国1位を獲得した。
子どもの読書推進を柱に据え
次代を担う子どもの読書推進を大きな柱にしていて、子育て支援施設に絵本のセットを貸し出している。読書ボランティアと協力して、児童館やふれあいサロンなどへの出張おはなし会なども開催している。 また、「誰でも、どこに住んでいても、どんな資料でも利用できるように」と、バリアフリーサービスにも力を入れ、視覚に障害がある人らの読書をサポートする対面読書サービスをオンラインでもできるようにした。 総貸出点数は2015年度の64万1145冊をピークに、新型コロナ禍で20年度は50万冊を割り込んだものの、22年度は電子図書館を含めると計68万3686冊と過去最高を更新した。 総入館者数は、22年度は15万6356人。蔵書数は、23年3月末時点で、中央館と各分館合わせて計34万2232冊。開設当初の100年前と比べると、250倍に増えた。 山路智子館長は「蔵書数が1300冊ほどからスタートして、いまは34万冊を超える大きな図書館になりました。地域を支える情報拠点として、居心地が良く、探したいものが見つかるよう、来館型と非来館型の併用によるハイブリッド図書館化を推進して、本のおもしろさ、読書の楽しさをさまざまな形で伝えていきたい。より多くの来館を職員一同お待ちしております」と話している。