【サウナ好きに朗報】更年期の女性の体重増加や代謝低下に”サウナ”が効果的?研究結果が示唆
更年期を迎えた女性の多くが体重増加や代謝の低下に悩まされる。ホルモンバランスが変化することで、内臓脂肪が増えやすくなり、肥満や糖尿病のリスクも上がる。このような問題に対し、アメリカの研究者らが新しい解決策として、サウナなどの温熱療法が有効である可能性を示した。 〈写真〉更年期の女性の体重増加や代謝低下に”サウナ”が効果的? ■サウナの温熱が体重増加を抑える? 米マサチューセッツ大学アマースト校の研究チームが行った実験では、卵巣を摘出し更年期の状態を模した雌マウスに高脂肪食を与え、体重変化を観察した。そのうちの一部のマウスを、毎日約40度の環境に30分間さらす温熱療法を12週間続けたところ、温熱を受けなかったマウスに比べて体脂肪が少なく、体重の増加も抑えられたことがわかった。この研究成果は、2024年6月29日から7月2日にシカゴで開催された「NUTRITION 2024」(アメリカ栄養学会の年次総会)で発表された。注目すべきは、温熱療法を受けたマウスでは、脂肪の蓄積が減少しただけでなく、インスリン抵抗性も改善された点にある。インスリン抵抗性の改善は、血糖値の管理に重要な役割を果たし、糖尿病リスクの低減にも繋がると考えられている。 ■温熱療法のメカニズム:体を温めることで脂肪を燃焼 研究チームは、温熱療法が体内でどのように作用しているのか、その仕組みも解明した。熱を体に与えると、体内の「TRPV1」という分子が活性化される。「TRPV1」は、体にとっての「脂肪燃焼スイッチ」のような働きを持っている。このスイッチが入ると、体はエネルギーを効率よく使うモードに切り替わり、余分な脂肪を燃やし始める。つまり、サウナや温浴によって体を温めることで、自然に脂肪燃焼のスイッチを入れることができるのだ。これが、インスリン感受性の改善や体重増加の抑制につながっていると考えられている。 研究の共同著者であるソンキュ・チュン准教授は、「この研究結果は、更年期に関連する体重増加に効果的で非侵襲的な(体を傷つけず、負担を与えない)解決策として、全身の温熱療法が有望であることを示唆しています」とコメントしている。また、共著者のロン・ファン氏も「更年期に伴うホルモン変化による脂肪増加や代謝の問題に悩む人々にとって、温熱療法は実用的な選択肢となり得るでしょう。特にサウナや温浴、サウナラップなどは日常的に簡単に実践できる点が魅力です」と述べている。 ただし、今回の研究はマウスを対象としたものであり、人間にも同様の効果が期待できるかどうかは、今後の研究に委ねられている。しかし、もしも人間でも同様の結果が確認されれば、更年期特有の体重管理や代謝改善のために、サウナが非常に有効なツールになるかもしれない。日本では、すでにサウナがトレンドとして広まっているが、これが更年期女性にとっても有益であることが証明されれば、ますますその人気は高まり、健康管理の一環として広く取り入れられることだろう。リラックスと体重管理が同時にできる新しいサウナの時代が到来するかもしれない。 出典:Saunas might be a potential solution to menopause-related weight gain Could daily sauna time help prevent weight gain during menopause? ‘Relaxing’ activity may help prevent weight gain in older women: study 文/山口華恵
山口華恵