クルド人“差別デモ”さいたま地裁が禁止の仮処分決定 日本クルド文化協会などが会見
埼玉県川口市などを中心に行われていたクルド人を差別するデモに対し、さいたま地裁がこうしたデモを禁止する仮処分を決定したことを受け、日本クルド文化協会などが会見を行いました。 クルド人は中東のトルコやシリア・イランなどにまたがる地域に暮らし、国をもたない最大の民族と呼ばれています。仮処分命令申立書によりますと、クルド人は国内に2000人から3000人ほど暮らしているといわれていて、その大半が埼玉県川口市のJR蕨駅周辺に住んでいるほか、日本クルド文化協会の事務所も駅近くにあります。 ただ、去年から川口市や蕨市でクルド人を差別する内容のデモなどが継続して行われていて、日本クルド文化協会は今月11日、デモは「ヘイトスピーチ」「ヘイトデモ」にあたるとして、デモの実施を禁止する仮処分を求める申し立てを行っていました。 そして21日、さいたま地裁はこの申し立てを認め、デモを呼びかけている男性に対し、協会の事務所の半径600メートルでクルド人を差別し侮辱するなどの「ヘイトデモ」を禁止する仮処分を決定しました。協会の代理人弁護士によると、クルド人を差別する内容のデモに禁止命令が出るのは初めてだということです。 これを受け22日、日本クルド文化協会が代理人弁護団とともに会見を行いました。 会見で日本クルド文化協会のワッカス・チカン代表(33)は、「この裁判所の決定は私たちにとって大きな一歩で、未来への希望をつなぐものです。この決定で、憎悪ではなく正義が勝つことを示せた。決して諦めることなく、皆様とともに平和で公正な社会を築いていきたいと思います」と喜びを語りました。 また、代理人弁護士は「『クルド人は日本に要らない』などと特定の属性に着目して排除をあおるデモがヘイトスピーチであることを裁判所が認めたことに意義がある」などとした一方で、「裁判は個別の事案における個別の判断にかぎるため、包括的・網羅的にヘイトデモなどを規制できない」などとして、県や市町村における差別撤廃条例の制定の必要性を訴えていくとしています。