藩主から与えられた、珍しい名字「日本」さん。そのルーツは?
珍しい名字:日本(にっぽん)
「日本」という名字があります。かなり珍しい名字で全国に点々と分布しています。 多くは「ひのもと」と読み、「ひもと」とも読むのですが、中には「にっぽん」と読む極めて珍しい家もあります。この「にっぽん」家には名字の由来が伝わってます。 「日本(にっぽん)」家は鹿児島県肝付町にあります。もともとは同県志布志市に住み、「小幡」という名字で船頭を務めていました。 船頭は天気を見るのも大事な仕事なのですが、なかでも江戸時代中期の当主善作は天気占いが得意だったそうです。雲や風の様子、湿気などから天気を予想して見事に当てていたという逸話が地元には伝わっています。 ある時、善作は志布志から鹿児島に戻る薩摩藩主を船に乗せました。その際善作は、「このあと日本晴れになるだろう」と予測して見事に当てました。すると、これに感じ入った殿様から「日本一の天気占い」として「日本」という名字を与えられたと伝えられています。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家 1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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