喜界町広範囲で停電続く 収穫期近づくゴマも倒伏 台風10号被害
台風10号が最も接近した鹿児島県喜界島では暴風雨による家屋や公共施設の損壊などが相次いだ。島内全域に出ていた高齢者等避難は28日午前10時半に解除。町によると午後4時時点で人的被害はないものの、民家や倉庫の外壁、屋根、ガラス破損などの被害が出ており、状況を調査中。停電は島内の広範囲で続き、伊実久~蒲生など一部では断水も発生。復旧作業が続いている。特産のゴマやサトウキビなどの農作物は広く被害が及んでいると見られるが、被害の全容は分かっていない。 27日から続く停電は、28日午後6時時点で3380戸(総戸数の69・6%)。湾、赤連では徐々に復旧が進み、喜界徳洲会病院では28日午後3時半ごろに復旧した。停電に伴い、固定電話も多くが不通となった。携帯電話の通信各社も28日早朝からつながりにくい状況となった。町は役場コミュニティセンターを携帯電話の充電場所として開放している。 生育期のサトウキビや収穫間近のゴマは各所で倒伏が見られ、伊実久の畜産農家でも畜舎屋根が風で飛ばされ風雨が入り込み、畜舎内の泥をかき出す作業に追われた。被害状況について町農業振興課の担当者は「民家被害も多く、まだ各農家からの報告が届いていない状況。まずは停電の復旧を待ってからとなると思う」と話した。 町によると湾、小野津の両漁港では係留していた船それぞれ1隻が転覆。空港臨海公園の建物屋根など公共施設や道路標識、看板破損も複数報告されている。 島内巡回バス(喜界バス)は29日から運行を再開。プロパンガスを供給する喜界ガスは「備蓄は約2か月分あり、当面の心配はしていない」としている。 小野津の吉行秀和さん(65)は「どの集落も片付けで追われている。民家の被害は小野津だけでも何十件もあり、倉庫などを含めればかなりの数になるのではないか」と話した。