関西のバス大集合 少年時代思い出す昭和の香り漂う車両も
関西のバス大集合 少年時代思い出す昭和の香り漂う車両も THEPAGE大阪
スルッとKANSAI協議会加盟社局のバスが一堂に集まる第15回「バスまつり」がこのほど、大阪市鶴見区の花博記念公園鶴見緑地で開かれ、多くのバスファンでにぎわった。現役を引退したバス部品の展示即売会も開催され、開始と同時に多くのコレクターが詰めかけた。方向幕収集家のひとりは「趣味と仕事や暮らしを連動させると、新しい発見がある」と話していた。
ボンネットバスは懐かしき昭和の香り
展示スペースに、スルッとKANSAI加盟社局のバス27台が勢ぞろい。奈良交通は奈良市内の観光スポットを巡回する赤色と青色の「ぐるっとバス」2台を並べて展示。係員がフットワークのいいバスによる奈良公園や平城京周辺の散策を呼びかけていた。 神戸市交通局が昭和の香り漂うボンネットバス「こべっこ2世号」(レプリカ車両)を展示。かつての路線バスを復元したもので、曲線を帯びた優雅な車両デザインは古い映画のワンシーンを観ているようだ。車内を見学するため、長い行列ができていた。 運転士なりきり体験バスでは、子どもたちが運転士の制帽制服姿で運転席へ。あこがれのハンドルを握りしめながら、笑顔で記念撮影におさまっていた。 大阪府箕面市からやってきた8歳男児は大のバスファン。両親とアメリカ・ミネソタ州で暮らしていたとき、公共交通機関はバスだけ。雄大な景色の中を走り回るバスに乗っているうちに、バスに魅せられたという。「バスの四角いところがいい。外の景色を見るのが好き」とのことで、バスに乗れないときには路線図をながめて楽しんでいるという。
方向幕に息づく少年時代の思い出
バス社局の各ブースでは、現役を退いたバスの方向幕や車両部品、標柱などを展示即売。ハンドル、タイヤホイール、補助席シートなどの大物から、スピードメーター、扉開閉スイッチなどの小物まで、バリエーションに富む。 小さな部品が詰め込まれた箱の中から、部品をひとつずつ取り出すなど、大人から子どもまで掘り出し物探しに夢中。「静岡-見延・甲府」などと表記された静岡のバス会社のフロントマスクは、関西ではなかなか手に入らないと人気だった。 何本もの方向幕を抱えた神戸市在住の40代会社員と出会った。「バスと鉄道を含めると、方向幕のコレクションは数百本」に達するという。一方で、「方向幕だけで千本単位で集めている人がいますから、僕はそんなに多くない。集めるのは生活や仕事で活動する地域のバスや鉄道の方向幕だけに限定しています」と話す。 少年時代の思い出が原点だ。近くの鉄道会社の事務所へ出掛け、守衛に「方向幕ください」とお願いすると、「ちょっと待っとき」と担当者へ連絡してくれる。姿を現した職員は「坊や、電車が好きなんか。明日もういっぺんおいで」と応対してくれた。 約束通り再訪すると、使用しなくなっていた古い方向幕に、職員自らがきれいにアイロンをかけ直して手渡してくれた。「帰るとき、最初に話を聞いてくれた守衛のおっちゃんにも、『おおきに』とお礼を言わなあかんでと、教わりました」。無料で譲り受けた方向幕は、子どもの精神的な成長を促す教材の役割も演じていたわけだ。